米当局が円安けん制か NY連銀のレートチェックで円一時155円台に急騰

ニューヨーク・ウォール街

23日のニューヨーク外国為替市場で、円相場が一時1ドル=155円台後半まで急速に円高方向へ振れ、約1カ月ぶりの水準を付けました。 背景には、米財務省の要請を受けたニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)による「レートチェック」(為替介入の準備段階とされる相場水準の照会)が実施されたとの観測が広がったことがあり、市場では米国が日本発の金利上昇や過度な円安を警戒し、円安けん制に動き始めたとの見方が強まっています。

朝方158円台前半で推移していたドル円は、NY時間にかけて少なくとも2度、突発的な急落を伴いながら155円台後半まで下落し、2円超の円高・ドル安となりました。 レートチェックの情報が伝わると、為替介入警戒から円買いが加速し、日本時間24日早朝には一時1ドル=155円60銭近辺を付けたと報じられています。

レートチェックは、為替介入の実務を担う中央銀行などが主要金融機関に対し「いま介入した場合に成立し得るレート」を問い合わせる行為で、実際の介入に先立つ「予行演習」として位置づけられています。 2022年以降の円安局面で、日本側によるレートチェックは断続的に伝えられてきましたが、今回は米当局が主導したとみられる点が大きな注目を集めました。

日本経済新聞などは、ロンドンの金融仲介業者の話として、米財務省の指示でNY連銀がレートチェックを実施したと報道しています。 こうした情報を受け、市場では「日本の財務省とベッセント米財務長官の間で、過度な円安を抑えるための一定の合意があった可能性がある」との観測が浮上しました。

一方で、日米が実際に協調して為替介入に踏み切ったかどうかについては見方が割れています。市場の一部では「レートチェックをきっかけにした円買いに便乗する形で、日本政府・日銀が水面下で円買い介入を行ったのではないか」との臆測も出ていますが、当局は具体的な介入の有無について明らかにしていません。 他方、協調介入はドル安を通じて米国の物価を押し上げかねず、米側のメリットが乏しいため「実現可能性はなお低い」と冷静にみる声も目立ちます。

日本発の金利上昇と「過度な円安」への警戒

今回、米当局がレートチェックに踏み切った背景には、日本発の金利上昇と、それを招いているとされる「過度な円安」への警戒感があります。 高市早苗首相が自民党総裁に選出された2025年10月以降、市場では積極財政への懸念から日本国債、とりわけ超長期債の売りが加速し、利回りが急上昇しました。 2026年1月には長期金利が2%台後半まで上昇する場面もあり、財政不安や金利急騰が日本発のショックとして意識されています。

本来、金利上昇は円高要因とされますが、足元では金利上昇局面でも円安基調が続く「逆転現象」が指摘されてきました。 背景には、高市政権下での減税や歳出拡大への期待・懸念があり、日本の財政持続性への疑念から「日本国債売り・円売り」の連鎖が進んだとの分析があります。 ベッセント米財務長官も、日本の超長期金利の急騰が米国債市場に波及している可能性に言及し、「日本からの波及効果を切り離して考えるのは極めて難しい」と述べていました。

このため、米当局は、日本の金利上昇と円安が同時進行するなかで、円と日本国債の売りが米国債利回り上昇につながる事態を警戒し、円安是正に一定程度関与する構えを示したとの見方があります。 ベッセント長官は、円安に対応する日本政府の為替介入について「判断は日本側の裁量に委ねる」と述べ、容認姿勢も示していました。

もっとも、日本側にとっては、金利急騰を抑えるために日銀が国債買い入れを大規模に再拡大すれば、「財政政策を金融政策で支える」との印象から、かえって円急落を招きかねないというジレンマがあります。 このため、民間エコノミストの中には、「日銀の国債買い入れにはリスクが大きく、過度な円安を抑える現実的な選択肢として日米がレートチェック実施で歩調を合わせた」と分析する向きも出ています。

市場では、ドル円が再び急速に円安方向へ動けば、日本政府・日銀が単独介入に踏み切る可能性や、米当局が静かに支援するシナリオが意識されています。 一方で、協調介入観測とその否定的な見方が交錯するなか、当面は日米当局の一挙手一投足に為替市場が神経質に反応し、荒い値動きが続くとの見通しが有力です。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 牛が道具を器用に使用、世界初の科学的記録で認知能力に注目集まる
    オーストリアで家畜の牛が道具を巧みに使用していることが世界で初めて科学的に確認され、牛の能力に対する…
  2. 刑務所内
    2025年6月、懲役と禁錮を一本化した「拘禁刑」が導入されました。受刑者の高齢化が進むなか、個々の特…
  3. 京都大学、老化細胞だけを除去する新薬を開発 難病の肺線維症に効果
    京都大学医学研究科の近藤祥司准教授らの研究チームは、体内に蓄積する老化細胞を選択的に除去する新しい薬…

おすすめ記事

  1. モー娘。北川莉央、活動休止継続を発表 12月復帰目指し準備進行中

    2025-9-12

    モー娘。北川莉央、活動休止継続を発表 12月復帰目指し準備進行中

    アイドルグループ「モーニング娘。'25」の北川莉央(21)が、当初予定していた今秋の活動再開を延期し…
  2. 2025-9-10

    Apple新型『iPhone 17』、SIMスロット廃止で薄型化実現 ユーザー対応に課題

    Apple社が9月10日に発表した最新スマートフォン『iPhone 17』シリーズにおいて、日本市場…
  3. 「【論文紹介】 無痛分娩と オキシトシンの 使用による 児の自閉症リスク上昇 との関連」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

    2024-10-27

    【論文紹介】無痛分娩(分娩時の硬膜外麻酔による鎮痛)とオキシトシン(陣痛促進剤)の使用による児の自閉症リスク上昇との関連

    今回は、分娩時の硬膜外麻酔による無痛分娩で生まれた子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD:Autis…

2025年度矯正展まとめ

2024年に開催された全国矯正展の様子

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る