日本とカナダ、サイバー防御協議を新設 中ロ念頭に関係を「包括的戦略的パートナーシップ」へ格上げ

日本とカナダ、サイバー防御協議を新設 中ロ念頭に関係を「包括的戦略的パートナーシップ」へ格上げ

日本政府は、カナダとの間でサイバーセキュリティー分野の政策協議を新設し、中国やロシアなどによるサイバー攻撃への対処力を強化する方針です。 高市早苗首相は来日中のマーク・カーニー首相と6日に首脳会談を行い、新たな協議の立ち上げを盛り込んだ首脳共同声明をとりまとめる見通しです。

首脳会談では、サイバー防御に関する情報共有に加え、安全保障や経済安全保障など幅広い分野の協力強化について中長期の方針を確認します。 日本とカナダは、これまでの「戦略的パートナーシップ」から関係を一段と引き上げ、「包括的戦略的パートナーシップ」と位置づけることで一致する方向です。 双方は、米国という同盟国だけに依存せず、自由や民主主義といった価値観を共有する「ミドルパワー」同士として連携を深めることを目指します。

日本とカナダの新たなサイバー協議は、政府の担当部局幹部が定期的に意見交換する枠組みとして設けられ、中国、ロシア、北朝鮮などによる巧妙化したサイバー攻撃の手口やトレンドを分析し合う場となります。 カナダは、米英豪などと機密情報を共有する「ファイブアイズ」の一員であり、国際的な調査でも世界有数のサイバー能力を有すると評価されています。 日本側は、カナダの知見やノウハウを取り込むことで、防衛力の底上げにつなげたい考えです。

一方、日本では基幹インフラへのサイバー攻撃の兆候を平時から把握する「能動的サイバー防御」を可能にする法整備が2025年に成立し、本格運用に向けた準備が進んでいます。 政府機関や重要インフラを狙ったサイバー攻撃には、中国やロシアの関与が疑われる事案も多く、カナダとの情報共有を通じた備えの強化は喫緊の課題となっています。 日本はすでに米国や英国などともサイバー協議の枠組みを持っており、今回のカナダとの協議新設により、多国間的な防御網の一層の強化を図る構えです。

ミドルパワー連携強化へ 防衛装備協力や共同訓練も拡充

日加首脳共同声明には、安全保障、貿易・投資、経済安全保障、人的交流など多岐にわたる分野での協力方針が盛り込まれる見通しで、両国関係を量・質ともに高める狙いがあります。 中国の軍事力強化やインド太平洋地域の緊張を念頭に、自衛隊とカナダ軍による共同訓練の拡充も確認される方向です。

防衛協力の基盤整備も急速に進んでいます。日本とカナダは、燃料や弾薬などを相互に提供できる物品役務相互提供協定(ACSA)を2018年に締結しており、安全保障協力の土台となっています。 さらに、部隊運用計画やテロ情勢といった機密情報を共有しやすくする情報保護協定について、2025年に締結交渉が実質合意に達し、その後発効しました。

2026年1月には、防衛装備品の輸出入を円滑にする「防衛装備品・技術移転協定」にも署名しており、日本にとってカナダは同種協定を結ぶ17カ国目となりました。 この協定は、移転された装備品や技術について第三国移転を事前同意なしに行わないことなどを定め、両国の防衛産業や技術基盤の維持・向上にも資するとみられています。

カーニー首相は、インド、オーストラリア、日本を歴訪する日程の一環として訪日しており、就任後初の日本訪問となります。 カナダ側は対米依存を見直し、クリーンエネルギーや重要鉱物、食料安全保障などの分野でアジアとの連携を強化する方針を掲げており、日本との関係強化はその要となっています。 一方で、カーニー氏は2026年1月に中国も訪問しており、米中対立が続く中で、各国との関係をどうバランスさせるかも焦点となります。 高市首相は首脳会談を通じて、日本の対中外交の方針を直接伝える考えで、地域の安定に向けた日加連携の方向性が問われます。

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