
高市早苗内閣総理大臣は11日夜、緊迫する中東・イラン情勢を受け、石油備蓄法に基づき石油備蓄を放出する方針を明らかにしました。ホルムズ海峡が事実上封鎖されている深刻な状況を踏まえ、国際的な協調放出の決定を待たず、日本単独でも今月16日から放出を開始します。具体的には、国が保有する国家備蓄1か月分と、民間企業に義務付けている民間備蓄15日分が対象となります。
同時に高市首相は、高騰するガソリンの小売価格について、全国平均で1リットル当たり170円程度に抑える方針を表明しました。この措置を早急に実施するよう赤沢経済産業相に指示し、ガソリンのほか、軽油や重油、灯油も価格抑制の対象に含めるとしています。財源には、既存の燃料油価格激変緩和対策基金の残高を活用する計画です。経産省によれば、補助金は19日出荷分から石油元売り各社へ支給され、実際の店頭価格に反映されるのは1~2週間後となる見込みです。
高市首相は首相公邸で記者団に対し、「今月下旬以降、我が国への原油輸入は大幅に減少する見通しだ。国民生活と経済活動を守るため、供給に支障が生じないよう備蓄を活用する」と説明しました。国内の原油価格は一時、1バレル120ドルに迫る局面もあり、政府は供給不足の回避と価格の安定化を最優先課題として取り組む構えです。
中東情勢の影響は実体経済にも波及しています。同日発表された2月の中国自動車販売台数は、前年同月比15.2%減の180万台となり、3か月連続の減少を記録しました。一方で、新エネルギー車の輸出は前年比2.1倍に急増しており、景気低迷が続く中国国内から海外市場へのシフトが鮮明になっています。また、11日の東京株式市場では、読売株価指数(読売333)が前日比484円76銭高の4万7803円30銭と2日続伸しました。政府の迅速なエネルギー対策への期待感が相場を下支えした形です。
IEAが過去最大の4億バレル放出で合意 中東供給不安に対処
日本の単独放出表明と並行して、国際エネルギー機関(IEA)は11日、臨時理事会を開催し、加盟国全体で過去最大となる4億バレルの石油備蓄を協調放出することで合意しました。これは2022年のロシアによるウクライナ侵攻時の放出量(1億8000万バレル)を大きく上回る、前例のない規模となります。
IEAのビロル事務局長は「エネルギー安全保障のために、加盟国が断固たる行動と強い結束を示した」と述べ、中東紛争による供給途絶リスクを市場全体で吸収する重要性を強調しました。現在、IEA加盟32カ国は合計で12億バレル以上の政府備蓄を保有しており、今回の決定はこの大規模なストックを機動的に活用するものです。
今後は、G7(先進7カ国)などの国際的な枠組みでも更なる協議が行われる見通しです。日本政府は国際社会と歩調を合わせつつ、国内市場への早期供給を優先し、エネルギー価格の高騰が家計や企業に与える悪影響を最小限に抑える方針です。








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