経済・エネルギー石油国家備蓄、26日から放出開始 ホルムズ海峡封鎖受け供給不安に対応

コンビナート

政府は26日、イラン情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、石油の国家備蓄の放出を愛媛県今治市の菊間基地などで開始しました。国家備蓄の放出は、ロシアによるウクライナ侵攻直後の2022年以来、約4年ぶり2回目となります。

今回の放出量は国内消費の30日分に相当する約850万キロリットル(約5300万バレル)で、国家備蓄全体の約2割にのぼります。政府は既に15日分の民間備蓄の放出も進めており、産油国共同備蓄の5日分と合わせ、計45日分という過去最大規模の供給で国内のエネルギー不足回避を目指します。

日本の石油備蓄は2025年12月末時点で計254日分(IEA基準で214日分)と、国際エネルギー機関(IEA)加盟国平均の141日分を大きく上回る水準にあります。しかし、日本の原油輸入の中東依存度は2024年度に96%まで上昇しており、ホルムズ海峡の封鎖は日本のエネルギー安保にとって最大の懸念事項となっていました。

供給網の混乱はすでに実体経済に波及しており、石油化学製品の原料となるナフサの不足から、出光興産などがエチレンの減産を余儀なくされています。また、政府はガソリン価格を1リットルあたり170円程度に抑制するため、25年度予備費から約8000億円を投入して補助金を再開しました。2022年からの補助金総額は9兆円に達する見通しですが、需要を支え続ける政策が財政悪化や円安を招く「悪循環」への懸念も指摘されています。

ネット上では、「備蓄があるのは心強いが、中東一本足打法のツケが回ってきた」「補助金で価格を抑えるより、抜本的な節電や省エネを呼びかけるべきではないか」といった声が上がっています。

アジアで深まるエネルギー危機 フィリピンは非常事態を宣言

日本が備蓄放出による「供給維持」に動く一方、備蓄の乏しい他のアジア諸国では、需要そのものを強制的に抑制する厳しい局面を迎えています。

フィリピンのマルコス大統領は24日、深刻な燃料不足を受けて「国家エネルギー非常事態」を宣言する大統領令に署名しました。これにより、省庁横断の委員会が設置され、燃料や食料などの生活必需品の供給確保や、厳格な節電対策、公共交通機関への補助などが1年間にわたって実施される方針です。

フィリピンも原油輸入の9割超を中東に依存しており、今回の供給途絶に対して極めて脆弱な構造にあります。こうした事態を受け、フィリピンを含むアジア諸国ではロシア産原油の購入を検討する動きも出始めており、エネルギー安全保障と国際情勢が複雑に絡み合う状況となっています。IEAも在宅勤務の拡大や高速道路の速度制限など10項目のエネルギー節約策を公表しており、日本政府も今後、備蓄放出の次の段階として、国民生活に制約を伴う需要抑制策をいつ打ち出すのか、難しい判断を迫られることになりそうです。

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