
中国国営メディアは1月29日、ミャンマーを拠点に特殊詐欺や殺人などの組織犯罪を繰り返していた犯罪組織「ミン一家」の構成員11人に対する死刑が執行されたと報じました。浙江省温州市中級人民法院が執行したこの処刑は、東南アジアで急拡大する特殊詐欺産業に対する中国当局の厳格な姿勢を示すものとなりました。
死刑が執行されたのは、ミン・シュエチャン氏を当主とする犯罪一家の主要メンバーです。処刑された11人には、ミン氏の息子でコーカン国境警備隊のリーダーだったミン・グオピン氏と、孫娘のミン・ジェンジェン氏が含まれています。彼らは処刑前に近親者と面会していたということです。
ミン一家は、ミャンマーと中国の国境に位置するコーカン自治区にある悪名高い複合施設を長年運営してきました。中国国営中央テレビによると、最盛期には1万人もの人間が詐欺などの犯罪に手を染めていたといいます。コーカン自治区に属するラウカイは、ミャンマーの無法地帯に根付いた数十億ドル規模の詐欺産業の中心地となっており、人身売買で連れてこられた労働者が巧妙なオンライン詐欺で見知らぬ人を騙していました。
温州市中級人民法院は2025年9月29日、故意殺人罪、故意傷害罪、違法拘禁罪、詐欺罪、賭博場開設罪など10以上の罪でミン・グオピン氏、ミン・ジェンジェン氏ら11人の被告に死刑および付加刑を言い渡しました。被告側は判決を不服として控訴しましたが、浙江省高級人民法院は同年11月25日に控訴を棄却し、最高人民法院による審査を経て、死刑判決が確定していました。
新華社通信の報道によれば、ミン一家の組織は別組織のリーダーと共謀し、意図的な殺害や傷害、詐欺をさせる労働者の違法拘束を行っていました。一連の犯罪の結果、中国人14人が死亡したということです。また、裁判所は、ミン一家と他の犯罪グループが2015年以降、特殊詐欺や違法カジノ、麻薬取引、売春などの違法行為に関与し、100億元(約2200億円)以上の利益を上げていたと認定しました。
ミン一家は、中国国境に近いミャンマーのラウカイを支配する「四大家族」の一つとして知られていました。これらの組織はインターネット詐欺、売春、麻薬製造などを扱う数百の拠点を運営していたとされ、その構成員は同国の軍事政権と連携する地方政府や民兵組織で重要な地位を占めていました。
中国当局による大規模摘発と国際連携強化
こうした労働者の親族から寄せられる長年にわたる訴えと、国際メディアの注目の高まりを受けて、中国政府は2023年にこれらの施設を摘発しました。同年11月、中国は詐欺、殺人、人身売買の容疑で一家のメンバーに対し逮捕状を発行し、彼らの逮捕に1万4000ドル(現在のレートで約215万円)から7万ドルの懸賞金を設定しました。
当時の中国国営メディアが報じたところによると、ミャンマーの国会議員も務めた一族の当主ミン・シュエチャン氏は、拘留中に自殺したということです。おそらく中国の承認を受け、ミャンマー民族民主同盟軍と同盟組織がラウカイを攻撃し、制圧しました。この行動は、軍事政権の内戦におけるミャンマー反体制派の攻撃の一環であり、同組織は詐欺ビジネス根絶を宣言しました。ミャンマー民族民主同盟軍は四大家族のリーダーたちを拘束し、その親族や関係者を60人以上、中国の警察に引き渡しました。
中国は近年、近隣諸国のタイ、ミャンマー、カンボジアとの連携を強化し、増加する特殊詐欺の摘発を進めています。国際組織犯罪の専門家によると、その結果、数万人に上る容疑者が本国に送還されたということです。中国公安部は2024年、オンライン賭博や通信詐欺の容疑で7600人を超える中国人がミャンマー南東部のミャワディから送還されたと発表しました。2025年12月には、インターネットや電話を用いた詐欺に関与した疑いのある952人の中国人がミャンマーから中国に送還されています。
今回のミン一家に対する死刑執行は、東南アジアを拠点とする組織的詐欺に対する中国の厳格な対応姿勢を国際社会に示すものとなりました。ミン一家以外にも、「白家」と呼ばれる犯罪組織の幹部である白所成被告を含む5人が2025年11月4日に死刑判決を受けており、四大家族に対する司法手続きが進行中です。白家も、ミャンマー・コーカン自治区を拠点に特殊詐欺や賭博などの違法行為を行い、290億元(約6270億円)を超える不正な利益を得ていたほか、覚醒剤を約11トン製造し、密売していました。
米国議会が設立した米国平和研究所によると、東南アジアの詐欺集団は年間430億ドル以上を窃取しています。警察庁によると、2025年の日本国内における特殊詐欺被害額は10月末時点で1000億円を超え、過去最悪を更新しました。特に警察官を騙る詐欺が横行しており、東南アジアからの国際電話が使われているケースも多いということです。
ミャンマーとタイの国境地帯では、中国系犯罪組織による特殊詐欺の拠点となっており、偽の求人情報で集められた日本人も含む外国人が犯罪行為に加担させられ、その数は1万人に上るとされています。国連の報告では、「人身売買などによって、世界中からミャンマーに集められた12万人以上が、特殊詐欺に加担させられている」としています。中国の検察当局は、ミャンマーに拠点を置く特殊詐欺グループが、日本円で2000億円以上の詐欺に関わっていたと指摘しています。
東南アジアを拠点とした組織的な詐欺の深刻な問題を受け、警察庁は2025年12月10日に東京都でアジアや欧米を含む14カ国が参加する国際会議を開催しました。警察庁の幹部は、「サイバー空間の匿名性を利用し、世界中の人々を欺いて莫大な利益を得ている組織犯罪に共に立ち向かわなければならない」と訴えています。












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