モバイルバッテリー発火事故が深刻化 相次ぐリコールで浮き彫りになる安全性の課題

モバイルバッテリー発火事故が深刻化 相次ぐリコールで浮き彫りになる安全性の課題

モバイルバッテリーの発火事故が社会問題化している中、2025年9月には東京都杉並区のマンションでモバイルバッテリーから出火し6人が病院に搬送される事故が発生しました。また、人気メーカーのアンカー・ジャパンが6月にモバイルバッテリー4製品の大規模リコールを発表するなど、身近な電子機器の安全性に対する関心が高まっています。

東京消防庁によると、リチウムイオン電池関連火災は令和6年中に106件発生し、過去最多を記録しました。その中でもモバイルバッテリーが35件と最も多く、全体の約3分の1を占めています。製品評価技術基盤機構(NITE)のデータでは、リチウムイオン電池を搭載した製品の事故件数は気温上昇とともに増加し、8月にピークを迎える傾向があります。

発火事故の主な原因として、過充電や高温環境での放置、製品への強い衝撃などが挙げられています。電力中央研究所の池谷知彦氏は「モバイルバッテリーの主な発火原因は、過充電と、高温環境での放置。過充電によって製品内に可燃性ガスが発生し、高温下や衝撃で膨張したガスが破裂・引火してしまう」と説明しています。

アンカー・ジャパンの大規模リコールでは、委託先のバッテリーセル製造会社が品質基準を満たさない部材を無断で使用していたことが判明しました。同社は「Anker Power Bank(10000mAh, 22.5W)」「Anker Power Bank(20000mAh, 22.5W, Built-In USB-C ケーブル)」「Anker MagGo Power Bank(10000mAh, 7.5W, Stand)」「Anker 334 MagGo Battery(PowerCore 10000)」の4製品について、2025年6月26日までに販売された製品の回収と交換・返金を実施しています。

過去にも深刻な事故が相次いでおり、2025年7月には山手線車内で乗客のモバイルバッテリーが発火し5人が負傷する事故が発生しました。このバッテリーは既にリコール対象となっていた「cheero Flat 10000mAh」で、2019年から2021年にかけて約4万台が販売され、これまでに16件の火災を引き起こしていました。

消費者が取るべき安全対策と正しい製品選び

消費者がモバイルバッテリーを安全に使用するためには、まず購入時にPSEマークの確認が不可欠です。PSEマークは「Product Safety Electrical appliance & materials」の略で、国が定めた技術基準に適合した電気製品にのみ表示される安全性の証明です。2019年2月からモバイルバッテリーにはPSEマークの表示が義務化されており、マークのない製品の販売は違法となっています。

使用時の注意点として、東京消防庁は6つのポイントを挙げています。製品に衝撃を与えない、整理整頓された場所で充電する、製造事業者指定の充電器を使用する、異常を感じた場合は使用を中止する、熱のこもりやすい場所での使用を控える、不燃性のケースに収納することが重要です。

川崎市消防局は、膨張や変形、異常発熱、変な臭いなどの兆候が見られた場合は直ちに使用を中止するよう呼びかけています。また、夏季の車内など高温になる場所への放置や、非純正充電器の使用も火災リスクを高める要因として警告されています。

万が一発火した場合の対処法については、専門家は「煙や火が発生したら、すぐに水を大量にかけてください。モバイルバッテリー程度のサイズなら、それで十分に消火できる」と説明しています。ただし、火花や煙が激しく噴出している際は近寄らず、勢いが収まってから消火することが重要です。

バッテリーの寿命管理も事故防止の鍵となります。新品購入から2~3年以上経過した製品や、充電持ちが悪くなり異常発熱を感じる場合は早めの交換が推奨されています。廃棄時には自治体の定める正しい分別方法に従い、小型家電リサイクル拠点での適切な処分が必要です。

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