28日の国債市場では、新発10年債の利回りが一時0.575%に上昇し、2014年9月以来、約8年10ヶ月ぶりの高水準を記録しました。27日の終値利回りは0.435%でした。
この背景には、日本銀行が行った金融政策の大幅な修正があります。長期金利の上限とする「0.5%程度」を維持しつつ、市場の動向に応じて1.0%までの上昇を認める方向性が示されました。
これまで日本銀行は、2%の物価上昇目標を安定的に達成するために「プラス0.5%程度」の長期金利の上限を設定し、この上限を超えた場合には大量の国債を買い入れて金利を抑制してきました。しかし今後は、この運用を柔軟にし、上限が0.5%を超えても1.0%程度までの動きを容認する方針に転換しています。
また、日本銀行は「経済・物価をめぐる不確実性がきわめて高い」との立場を表明した上で、「上下双方向のリスクに機動的に対応していくことで金融緩和の持続性を高める」との意向を示しました。
なお、「イールドカーブ・コントロール」をめぐり、日本銀行が国債の大量購入によって保有割合が50%を超え、市場機能を低下させるといった副作用が指摘されていました。日本銀行は運用を柔軟にすることで、これらの副作用を軽減する意図があると見られています。
政策の発表後に「1ドル=141円」台前半へと円安が進む
日本銀行は28日まで開かれた会合にて、大規模な金融緩和策の修正を決定しました。長短金利操作の運用を柔軟化し、長期金利の上限については0.5%を超えることも容認するとのことです。
この政策が発表されたあと、東京外国為替市場では円売りドル買いの動きが強まり、「1ドル=141円」台前半へと円安が進みました。また、3ヶ月ぶりに公表した物価情勢の見通しについて、生鮮食品を除いた消費者物価指数の上昇率は以下の通りとなります。
- 2023年度:1.8%から2.5%に引き上げ
- 2024年度:2.0%から1.9%に引き下げ
- 2025年度:1.6%で据え置き
今回の決定について、日本銀行の植田総裁は午後から記者会見を開き、詳しく説明を重ねました。ネット上では、「日銀が金融政策を正常化していく動きなら賛成」「日銀としては本当にギリギリのところだろう」「現状のままでは円が安すぎインフレがさらに進む可能性がある」などの意見が寄せられています。