
2013年に発生した餃子チェーン大手「王将フードサービス」トップ射殺事件の初公判日程が決まりました。京都地方裁判所で3日に実施された公判前整理手続において、特定危険指定暴力団・工藤会系組織幹部の田中幸雄被告(58)に対する審理が11月26日午前10時から始まります。
田中幸雄被告には、当時の代表取締役だった大東隆行氏(享年72)を銃器により殺害した容疑が掛けられています。裁判所は今回の審理について裁判員制度の適用を見送り、職業裁判官による合議体で進行する方針を決定しました。
法廷では実行犯の特定が最大の焦点となる見通しです。検察側が田中幸雄被告による犯行と主張するのに対し、弁護側がどのような反論を展開するかが注目されます。
事件の背景には企業を揺るがす不正取引の存在がありました。王将フードサービスは創業家に近い人物との間で約10年間、総額260億円規模の不透明な商取引を継続していた事実が判明しています。
大東隆行氏は経営トップ就任後、この問題の是正に着手しており、内部調査の結果を文書化してから約1ヶ月後に銃撃を受けて死亡しました。
餃子チェーン経営者・大東隆行氏の歩みと王将フードサービスの成長
大東隆行氏は1941年に大阪で誕生しました。幼少期に長兄を硫黄島で失い、父も終戦前後に他界するという困難な環境で育ちます。進学時には高等学校を志望していましたが、商業実務に必要な知識習得を優先し、関西経理専門学校で学びました。
卒業後は姉の配偶者である加藤朝雄氏の事業を手伝い始め、19歳で薪炭販売業を個人事業として引き継ぎ、氷の販売も手掛けました。
1969年、28歳の時に転機が訪れます。義兄が2年前の1967年に京都四条大宮で開店させた餃子専門店「餃子の王将」1号店への入店です。
調理場での作業から接客、営業活動まで幅広い業務を経験し、1978年には営業統括責任者に昇進しました。その後1995年に副社長、2000年には代表取締役に就任します。
経営トップとして赤字体質からの転換を実現し、2006年には大阪証券取引所第一部への株式上場という快挙を成し遂げました。
王将フードサービスは創業者・加藤朝雄氏が中国での戦後体験から着想を得て設立した企業です。当時主流だった画一的なファミリーレストラン形態とは一線を画し、各店舗の個性と人材育成を重視する独自の経営手法を貫きました。
大東隆行氏はこの「人」を中核とする理念を継承・発展させ、2009年3月期には創業以来最高となる549億円の売上高を記録するなど、外食産業の中で際立つ存在へと成長させました。












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