米中ムーンレース激化、2026年に有人月飛行と無人探査が相次ぐ

米中ムーンレース激化、2026年に有人月飛行と無人探査が相次ぐ

NASAは有人宇宙船「オリオン」を搭載した「スペースローンチシステム(SLS)」ロケットを、早ければ2026年2月5日に月周回軌道へ向けて打ち上げる予定です。これが実現すれば1972年のアポロ17号以来、53年ぶりに人類が月の近傍を訪れることになります。

ケネディ宇宙センターではSLSとオリオンの統合作業が完了し、クルー搭乗状態でのリハーサルが進められています。このアルテミスIIミッションでは、4名の宇宙飛行士が10日間の月周回飛行を行う計画です。

搭乗するのはNASAのリード・ワイズマン司令官、ビクター・グローバー氏、クリスティーナ・コッヒ氏の3人と、カナダ宇宙庁のジェレミー・ハンセン氏。成功すればコッヒ氏は月近傍を訪れた初の女性、ハンセン氏は米国人以外の初の人物となります。

一方、中国でも2026年8月に無人探査機「嫦娥7号」を月南極へ打ち上げる計画が進行中です。嫦娥7号は探査車や着陸船などで複合的に構成されており、ミッションは月南極に存在するとされる水氷の探査と月震の研究です。

中国は2020年の嫦娥5号で月サンプルリターン、2024年の嫦娥6号で月裏側からのサンプルリターンに成功しており、嫦娥7号は国際月科学研究ステーション(ILRS)建設の布石となります。

米国では民間企業による月面輸送も活発化する見通しです。NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)に選定されたブルーオリジンの「ブルームーンMK1」は2026年初旬に初飛行予定で、月南極域への着陸を目指します。

またアストロボティックの「グリフィン1」は7月以降に月南極を目指し、ファイアフライの「ブルーゴーストM2」は2026年後半に月の裏側への着陸に挑戦する予定です。これら3機の無人輸送機が相次いで月面着陸に臨むことで、米中の月開発競争は新たな段階へ入ります。

スターシップ遅延で代替案模索、NASAの課題

スペースXが開発する有人月着陸機「スターシップHLS」の遅延は、NASAの計画に大きな影を落としています。報道によると、スペースX内部では軌道上燃料補給デモを2026年6月に実施予定。また、無人月着陸テストを2027年6月、有人ミッションは早くても2028年9月になると見積もられている状況です。

NASAは2027年に予定されていたアルテミスIIIの有人月面着陸について、さらなる遅延を事実上認めています。ダフィー長官代行は「アルテミスIIの数年後」になると述べつつ、トランプ大統領の任期である2029年1月までに実現する姿勢を示しました。

こうしたなか、NASAは10月にスペースXとブルーオリジンの両社に開発加速案の提出を求め、業界全体にも情報提供依頼(RFI)を発行すると発表しました。候補として挙がっているのはブルーオリジンの有人月着陸機「ブルームーンMK2」ですが、同機は本来2030年頃のアルテミスVに選定されており、アルテミスIIIへの前倒しは容易ではありません。

スターシップの軌道上燃料補給技術はいまだに大きな課題となっており、米国の月面着陸計画は正念場を迎えています。

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