
サンリオ株式会社が2027年3月期までの期間において、最大で1000億円規模のM&A(合併・買収)を検討していることが10月16日に明らかになりました。人気キャラクターの活動の幅を広げるため、映像制作やゲーム、メタバースといったデジタル関連事業の強化を目指します。
サンリオの松本成一郎常務執行役員は日本経済新聞のインタビューに応じ、「サンリオキャラクターの活動の幅を広げるため、我々に足りない機能を補うためのM&Aを検討している」と述べ、具体的には映像制作やゲーム、メタバースなどのデジタル領域を対象とすると語りました。候補企業は海外が中心になるとし、買収だけでなく資本・業務提携も含めた幅広い議論を進めていることを明らかにしました。
キャラクタービジネスを展開するサンリオにとって、デジタル技術を活用した新たな体験価値の創出が成長の鍵となっています。近年、キャラクター消費は「モノ」から「体験」へとシフトしており、アニメやゲーム、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)などを通じたファンとの接点拡大が重要となっています。サンリオは2025年6月にアニメ制作大手IGポートの株式取得を行い、映像制作分野への投資を着実に進めてきました。また、メタバース空間イベント「SANRIO Virtual Festival」を開催し、VRヘッドセットを装着して参加するVRChat上でキャラクターの仮想ライブを展開するなど、デジタル空間での体験価値創出にも積極的に取り組んでいます。
サンリオの財務基盤と成長戦略
サンリオの財務状況は堅調で、2025年3月期決算では売上高1449億円、営業利益518億円と過去最高を更新しました。松本常務は「キャラクター自体を買うことの優先順位は高くない」と述べ、既存のサンリオキャラクターを活用するためのデジタル技術や制作機能の獲得に重点を置く方針を示しています。
今回の大規模M&A戦略は、サンリオが「キャラクター会社」から「体験型IPプラットフォーム企業」への転換を図る重要な一歩となります。グローバル市場において、日本発のキャラクターIPをデジタル技術と融合させることで、新たな成長機会を追求する姿勢が鮮明になっています。



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