名証IPO63年ぶり高水準、東証グロース市場厳格化で受け皿機能が鮮明に

名証IPO63年ぶり高水準、東証グロース市場厳格化で受け皿機能が鮮明に

名古屋証券取引所の新規上場数が急増しています。2025年は11月19日時点で29社(重複上場など含む)と、年間ベースで63年ぶりの高水準となる見通しです。これは旧名証2部を開設した直後の1962年(32社)に次ぐ規模となっています。背景には東京証券取引所がグロース市場の上場維持基準を厳格化したことがあり、中小・中堅企業の受け皿として名証が注目を集めています。

東証は9月26日、新興企業向けのグロース市場で上場維持基準を厳格化する方針を発表しました。新基準では上場5年経過後に時価総額100億円以上を求めるもので、現行の「上場10年後に時価総額40億円以上」から大幅に引き上げられます。2030年3月1日以降に適用される予定で、この改正により多くの企業が東証グロースへの上場を躊躇し、代わりに名証を選択する動きが広がっています。

この動きを受けて名証は11月6日、東京・兜町で6年ぶりにIPOをテーマにしたセミナーを開催しました。定員を大きく上回る約150人が参加し、上場を検討する中小・中堅企業の担当者のほか、中堅証券のIPO担当者が勢ぞろいしました。名証の伊藤和仁執行役員は「将来の東証上場を目指すうえで、名証上場という選択肢も考えていただきたい」と力を込めました。ある中堅証券の参加者は「いま扱っているIPO案件のうち、最も数が多いのは名証」と明かしています。

2025年の新規上場29社のうち、24社が東証との重複上場となっています。東証での上場が難しくなるとみた中小・中堅企業が多いとみられます。名証の上場維持基準は東証グロースの新基準より緩く、ネクスト市場で時価総額が2億円、メイン市場で5億円以上です。これは東証スタンダード市場の流通時価総額10億円以上より低く、基準達成が難しいと考える企業に対し、東証も名証上場という選択肢を提示しているとみられます。

ステップアップの受け皿として注目高まる名証の単独上場

名証の単独上場も25年は5社(11月19日時点、持ち株会社の上場含む)と、この10年で最多となっています。名証は毎年、大規模な投資家向け広報(IR)イベント「名証IRエキスポ」を開催しており、2025年は9月5日から6日にかけて名古屋市の吹上ホールで開催され、135社が出展し約8,400人の来場を見込みました。企業と投資家の接点を作る取り組みを評価し、他市場から名証単独上場に変更する企業も出てきています。

庭園などを手掛けるハンワホームズもその1社です。プロ向け市場の東京プロマーケットから名証ネクストに変更し、11月17日に上場しました。鶴厚志社長は記者会見で「ステップアップの先としては名証を考えていた。中部で知名度を高めたい」と述べました。

将来の東証上場を見据え、地方証取を足場に個人投資家を呼び込む企業は全国で増えています。今年名証に単独上場した企業のうち3社が中部域外に本社を置いており、伊藤和仁執行役員は「全国に開かれた取引所としてアピールしたい」と話しています。

名証はメイン市場の上場審査基準として、直近の決算期の経常利益が1億円以上であることを定めています。伊藤執行役員は「名証を(上場維持を図る企業の)駆け込み寺にはしない」と述べ、企業の質を保つ考えを強調しています。個人投資家重視の株式市場としての役割を高めながら、成長持続に向けた上場後のフォロー体制の強化も進めています。

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