
12月3日、米国の防衛テクノロジー企業であるアンドゥリル・インダストリーズ(Anduril Industries)は、日本法人の設立と本格的な日本市場への参入を発表しました。同社は、創業者のパーマー・ラッキー氏が率いる「ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の未上場企業)」です。評価額は約4兆円超に達し、防衛テック界の筆頭格として知られています。
今回の日本進出は、台湾有事などの地政学的リスクが高まるインド太平洋地域において、同盟国である日本の防衛能力をソフトウェア主導で強化する狙いがあります。
特に注目を集めたのが、日本独自のプロジェクトとして発表されたドローン「キズナ(Kizuna)」の開発構想です。ラッキー氏は会見で、「サプライチェーンを中国に依存すべきではない」と強調し、日本の部品のみを使用して製造する「純日本産」の機体を展開すると明らかにしました。
この構想を具現化する第一歩として、秋田県に拠点を置くモーター製造会社アスターとの協業に関する覚書を締結しました。アスターの高出力・高効率なモーター技術と、アンドゥリルのAI(人工知能)による自律飛行技術を組み合わせることにより、高い性能を持つ防衛装備品の国内生産体制を構築します。
新設された日本法人「アンドゥリル・ジャパン」の代表には、元米海軍士官であり、米国防総省や大手防衛企業RTX(旧レイセオン)での勤務経験を持つ、パトリック・ホーレン氏が就任しました。ホーレン氏は日本の防衛省や国会での勤務経験を持つ知日派であり、日米の防衛政策の架け橋として期待されています。
会見でホーレン氏は「日本の優れた技術者や科学者が、国家への貢献をイノベーションとして捉えられる場所にしたい」と述べ、国内での採用拡大や、大学・研究機関との連携も深めていく意欲を示しました。
防衛産業の変革期、アンドゥリル参入で加速する技術革新
アンドゥリルの日本参入は、日本の防衛産業にとって大きな転換点となる可能性があります。従来の防衛装備品調達はハードウェア中心のモデルで、開発に時間とコストがかかるという特徴がありました。これに対しアンドゥリルは、AIとソフトウェアを核心に据え、低コストで迅速に開発するシリコンバレー流のアプローチを持ち込む構えです。
同社の日本進出は、単なる製品の売り込みにとどまらず、日本の部品メーカーやスタートアップの世界の防衛サプライチェーン参画を促す契機となることも期待されます。防衛費の増額を背景に、日米の技術が融合した新たな防衛エコシステムの形成が進んでいます。












-300x169.jpg)