
ファーストリテイリングを率いる柳井正会長兼社長による大規模な医療研究支援が実を結びました。6月20日、大阪・中之島に「Yanai my iPS製作所」が正式に開所し、再生医療分野における革新的な取り組みがスタートしています。
この施設は柳井正氏が2021年度から9年間にわたって毎年5億円、総額45億円を投じる壮大なプロジェクトの中核となる研究拠点です。
3月の施設完成を経て、5月には近畿厚生局から臨床用のiPS細胞製造施設としての正式認可を取得しており、本格的な運用体制が整いました。
施設の最大の特徴は、患者本人の細胞を用いたiPS細胞製造の自動化システムです。従来の手作業による製造では半年の期間と約5,000万円の高額な費用が必要でしたが、新システムにより製造コストを100万円程度まで削減することが可能になります。
年間製造能力も1,000個近くまで向上し、大量生産体制が実現されます。開所式に出席した柳井正氏は、血液からのiPS細胞生成技術を「画期的」と評価し、さまざまな疾患治療への応用拡大に期待を表明しました。
柳井正氏の医療研究支援 グローバル企業の責任論が背景に
柳井正氏がiPS細胞研究に巨額の支援を決断した背景には、現代の企業経営に対する深い洞察があります。2019年に山中伸弥京都大学教授から寄付の申し出を受けた柳井正氏は、単なる社会貢献を超えた戦略的な意義を見出していました。
柳井正氏は記者会見で、従来の事業モデルへの認識の変化を率直に語っています。これまでユニクロは顧客ニーズに応える衣料品製造を通じた社会貢献で十分でしたが、海外市場での事業展開においては、この考え方だけでは不十分だと痛感したといいます。
国際的な企業として認められるためには、純粋な利益追求を超えて、社会に対する具体的な価値創造が不可欠な要素になっているという現実認識が根底にあります。
特に印象的なのは、「事業の他に社会にどんな良いことをしているかが問われる」という発言です。これは単なる慈善活動ではなく、グローバル企業としての持続可能性を確保するための必要条件として寄付を位置付けていることを示しています。
さらに柳井正氏は、日本の寄付文化の発展にも言及し、将来の研究開発には公的資金だけでなく、民間からの支援拡大が不可欠だと強調しています。












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