
NTTグループは25日、企業や自治体を対象とした、日本語に特化した独自開発の生成AIを用いた新たなサービスの提供を開始しました。このサービスは議事録の自動作成やバーチャル接客など、多岐にわたる分野での活用が期待されており、2027年には年間売上高1,000億円を目指しています。
このAI技術の基盤となるのは、「tsuzumi(つづみ)」と名付けられた大規模言語モデルです。厳選されたデータによる学習を通じて、日本語の理解と生成能力を大幅に向上させています。
米OpenAIの「ChatGPT」に匹敵する日本語能力があるとされており、NTTはこの技術を用いて顧客のニーズに合わせたカスタマイズが可能なサービスを展開し、データセンターや専用回線を通じた高い機密性を保持する運用を提供します。
島田明社長は記者会見で、tsuzumiの国産技術である点が評価されたことを強調し、企業や自治体、大学からの関心の高さを示す500件以上の問い合わせがあったことを明らかにしました。この動きは、日本語特化の生成AI技術の商用化に向けた国内企業間の競争が激化していることを示しており、NECやソフトバンクも同様の技術開発を進めています。
大規模言語モデル「tsuzumi」とは?モデルの軽量化が主な特徴
NTTグループが開発したtsuzumiは、モデルの軽量化と高い言語処理能力が主な特徴です。パラメタサイズが6億(0.6B)と70億(7B)の2つのバージョンがあり、これはOpenAIのGPT-3の1,750億(175B)と比較して大幅に小さくなっています。
この軽量化により、高速な推論を可能にし、学習やチューニングに必要な電力とコストの両方を抑えられます。また、NTTの40年以上にわたる自然言語処理の研究成果を集結させたtsuzumiは、日本語と英語の両方に対応しており、小さなパラメタサイズでも高い精度を実現しています。
さらに特定の業界や利用シーンに合わせたカスタマイズが容易で、画像を含む文書の理解や検索などのマルチモーダルについても対応予定です。これにより、カウンセリングやコールセンターなど、多岐にわたる分野での応用が期待されています。
その上でNTTグループの豊富なアセットを活用し、ユーザーインターフェースの使いやすさやセキュリティの強化など、独自の付加価値をプラスします。ドコモビジネスでは、DX推進のためにtsuzumiを活用したソリューションの提案を進めており、カスタマーエクスペリエンスやエンプロイーエクスペリエンスの向上、事業継続性の確保など、幅広いニーズに応えることを目指しています。