東京都、宿泊税を一律3%の定率制へ 高額宿泊と民泊を網羅し観光財源強化

東京都、宿泊税を一律3%の定率制へ 高額宿泊と民泊を網羅し観光財源強化

東京都は、ホテルや旅館などに滞在する際に課される宿泊税について、現在の定額制から宿泊料金の一律3%を課す定率制へ改める見直し素案を公表しました。素泊まり部分が1人1泊1万円以上の場合に100円、1万5000円以上で200円を徴収する現行制度では、宿泊料金が高額になるほど税負担率が下がる「逆転現象」が生じており、外資系を含む高級ホテルの増加で課税の不公平感が指摘されていました。新制度では、1人1泊1万3000円以上の宿泊料金に対して一律3%を課税し、税額に上限は設けません。これにより、1泊10万円の高級ホテルでは宿泊税が3000円となるなど、高額帯ほど負担が増える仕組みに転換されます。

一方で物価高騰や修学旅行、ビジネス出張などへの影響を考慮し、課税免除の基準は現行の「1万円未満」から「1万3000円未満」へ引き上げられます。東京都の試算では、この見直しによって課税免除となる宿泊者の割合は現在の約5割から3割程度に縮小しつつも、価格帯の低い宿泊施設を利用する層への配慮は維持されるとしています。また、これまで対象外だった民泊や簡易宿所も新たに課税対象に加えられ、ごみの放置や騒音など地域トラブルの火種となりやすい民泊について、税務調査などを通じた適正運営のチェック機能を強める狙いがあります。

東京都は今後、パブリックコメントを実施したうえで、2026年2月の都議会に条例改正案を提出し、総務大臣の同意を得て2027年度中の施行を目指します。宿泊税収は足元の年間約69億円から、定率制移行後には約190億円規模へ増加すると見込まれ、観光財源に占める宿泊税の割合も約2割から6割程度へ高まる見通しです。都は増収分を活用し、観光客増加に伴う課題への対応と、持続可能な観光都市としての基盤整備を進める方針です。

観光客急増とオーバーツーリズム対策、他自治体の動きも後押し

東京都は観光施策の中長期目標として、訪都外国人旅行者数を2035年に約4000万人、消費額を6.3兆円とする目標を掲げており、2024年時点でも訪都外国人旅行者数2479万人、消費額約4兆円と過去最高を更新しています。一方で、観光地でのごみ問題や交通機関の混雑など、オーバーツーリズムに起因する課題も顕在化しており、都は今回の宿泊税増収分を、ごみ対策やマナー啓発、AIを活用した混雑緩和策、宿泊施設のバリアフリー化支援、民泊の適正運営確保といった事業に重点的に充てる考えです。宿泊者が「負担に見合う還元」を感じられるよう、毎年度、税収の具体的な使途を公表する方針も示されています。

宿泊税を巡っては、北海道倶知安町が2019年に全国で初めて宿泊料金の2%を課す定率制を導入しており、インバウンド需要の高まりを背景に観光インフラ整備などに税収を充てています。また、沖縄県は2026年度中の導入を目指し、宿泊料金の2%(上限1人1泊2000円)の定率制を都道府県として初めて採用する条例を可決しました。こうした動きを踏まえ、東京都の一律3%・上限なしという大胆な見直しは、国内の宿泊税制度のあり方に新たな一石を投じる形となります。高額宿泊層やインバウンド需要から得られる税収を、観光公害の抑制と地域の受け入れ環境整備に回すことで、東京観光の「量」だけでなく「質」の向上につなげられるかが問われている状況です。

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