
イギリスで1月5日、子どもの肥満対策として高脂肪・高塩分・高糖分(HFSS)食品の広告を全面的に規制する新たな措置が施行されました。テレビ広告では午後9時より前の時間帯での放送を禁止し、オンライン上では終日すべての有料広告を禁止するもので、世界でも先駆的な取り組みとして注目されています。
規制の対象となるのは、ソフトドリンク、チョコレート、菓子類、ピザ、アイスクリームなど、子どもの肥満の主要因とされる製品です。さらに一部の朝食用シリアルやポリッジ、甘味料を加えたパン製品、サンドイッチなども含まれます。
対象製品は、栄養価と飽和脂肪、塩分、糖分の含有量を評価するスコアリングツールに基づいて決定されており、プレーンオーツや大半のポリッジ、ミューズリー、グラノーラは対象外です。
イギリスでは深刻な小児肥満問題を抱えています。イギリス国民保健サービス(NHS)のデータによると、小学校入学直前の子どもの約10人に1人(9.2%)が肥満状態で、5歳児の5人に1人が虫歯を経験している状況です。こうした肥満関連の健康問題により、NHSには年間で推定110億ポンド(約2兆3000億円)以上の医療費がかかっていると推定されています。
政府は今回の広告禁止措置により、子どもの食事から年間最大72億キロカロリーの削減を目指しています。約2万件の小児肥満を防げると見込まれ、健康面では約20億ポンド(約4200億円)相当の利益をもたらす見通しです。
ハートフォードシャー大学で健康行動変容学を専門とするキャサリン・ブラウン教授は、今回の措置について「遅きに失したものの、正しい方向への動き」と評価。
同教授は「子どもは不健康な食品に関する積極的なマーケティングの影響を非常に受けやすく、そうした広告にさらされることで、肥満や関連する慢性疾患を患うリスクが高まる」と指摘し、栄養価の高い選択肢をより手頃で入手しやすくするよう政府に求めています。
業界の反応と規制の実効性に課題
今回の規制には実効性に関する懸念も指摘されています。規制されるのは不健康な製品そのものを映した広告に限定されるため、企業のブランド名そのものの宣伝は今後も続けられると、マーケティング企業イニシャルズCXのジョシュ・ティリー氏は説明します。
ティリー氏は「ペプシのロゴやマクドナルドのゴールデンアーチなど」は規制対象にならないと指摘。大企業は新規制による影響をそれほど受けない可能性がある一方、中小企業は「ブランド広告を大々的に展開する予算が必ずしもない」ため、特定商品の周知ができなくなると懸念されています。
業界団体であるイギリス食品・飲料連盟(FDF)は、2024年10月から自主的に新規制を順守してきたと説明。FDFによると、加盟企業の製品は10年前と比べて塩分が約31%、糖分が約30%、カロリーが約24%削減されているといいます。新規則に従わない企業については、イギリスの広告基準協議会(ASA)が対応を取る可能性があります。












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