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児童精神科医が解説 不安の心理検査 STAI(状態‐特性不安尺度)
- 2025/12/28
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不安は、危険を察知するために誰にでも備わっている自然な感情です。しかし、不安があまりにも強すぎたり、長く続いたりすると、日常生活や仕事、学業に支障をきたしてしまうことがあります。
「STAI(状態-特性不安尺度)」という心理検査は、「自分が今、どのくらい不安を感じているのか」「自分は不安を感じやすいタイプなのか」を客観的に知る方法のひとつです。
この記事では、児童精神科医が、STAIとはどのような検査で、何が分かり、実際の臨床現場(保険診療)でどのように使われているのかを、分かりやすく解説します。
STAI(状態‐特性不安尺度)とは不安の程度を数値化する質問紙
STAI(一般的にスタイと呼ぶ:State-Trait Anxiety Inventory)は、不安の程度を数値化して測定するために世界中で広く使われている、信頼性と妥当性が確認された心理検査(質問紙)です。STAIの最大の特徴は、「状態不安」と「特性不安」という2つの異なる側面の不安を同時に測定できる点にあります。
1.状態不安
状態不安とは、特定の状況や出来事に対して「今、この瞬間」に感じている一過性の不安や緊張を指します。状況によって変化しやすく、例えば「大事な試験の前」「大勢の前でのスピーチ前」、あるいは「診察室に入った瞬間」などに高まる不安が、状態不安にあたります。
2.特性不安
特性不安とは、その人がもともと持っている「不安の感じやすさ」の傾向、性格的な特性としての不安を指します。ストレスを感じる状況を知覚しやすく、ストレスに対して不安反応を起こしやすい傾向のことで、状態不安とは異なり、状況が変わってもあまり変化しないとされています。
STAIは、10分程度の質問紙(アンケート)形式の検査で、比較的簡便
STAIは、質問紙(アンケート)形式の検査で、比較的簡便にできるのが特徴です。検査用紙は「状態不安」に関する20問と、「特性不安」に関する20問の、合計40問の質問で構成されています。
質問に対し、「全くない」「少し感じる」「かなり感じる」「非常に強く感じる」といった4つの選択肢のなかから、自身の状態に最も当てはまるものを選んで回答していきます。検査にかかる時間には個人差がありますが、10分程度です。
STAIでは、「状態不安」と「特性不安」が点数(スコア)にて算出
検査を実施すると、「状態不安」と「特性不安」のそれぞれの点数(スコア)が算出されます。点数が高いほど、その不安感が強いことを示します。
一般的な不安レベルの目安は以下の通りですが、これはあくまで大まかな指標です。

必ずしも個々の人の状況に当てはまるわけではないため、STAI検査の結果だけで判断を下すのではなく、専門家による総合的な評価に基づいて適切に対応するのが重要です。
STAIは、医師と患者さんが「不安の程度」について共通の理解を持つための尺度
STAIは、まず患者さん自身が「なんとなく不安」と感じている状態を点数化し、自身の感情を客観的に把握するのに役立つほか、心療内科や精神科の臨床現場で幅広く活用されています。
臨床現場での主な活用場面は、以下のとおりです。
- 診断の補助:不安障害(全般性不安障害、パニック障害、社交不安障害など)や、うつ病に伴う不安の強さを評価する。スクリーニングとして役立つ。
- 治療効果の測定:薬物療法や精神療法(カウンセリング)を開始する前と後で実施し、特に「状態不安」の点数がどう変化したかを見る。
STAIは、医師と患者さんが「不安の程度」について共通の理解を持つための「ものさし」にもなります。また、治療の効果を実感できると、患者さんの治療継続のモチベーションにもつながります。
他にも、外科手術の前に患者さんが抱える不安(術前不安)の程度を把握するためにも使われるなど、活用範囲が広い検査です。
STAIの費用(保険点数)
STAIは、医師が不安の評価・診断・治療計画のために必要と判断した場合、健康保険が適用される心理検査です。
現在の診療報酬制度(2024年度)において、STAIはD285「その他の心理検査」の「1 操作が容易なもの」に該当し、80点(1点=10円)と定められています。したがって、医療機関の窓口でお支払いいただく費用は、3割負担の方であれば240円、1割負担の方であれば80円となります。
ただし、この検査費用とは別に、診察料(初診料や再診料)などがかかりますのでご留意ください。
児童精神科医から~「不安」をつらく感じたら相談しましょう
STAIは、不安という目に見えないつらさを点数として見える化し、自身の状態を客観的に理解し、治療に役立てるための有効なツールの一つです。大切なのは、検査結果の点数だけに一喜一憂することではなく、自分の状態を知って適切に対処していくことです。
「理由のわからない不安が続く」「不安で日常生活に支障が出ている」など、つらさを感じている場合は、一人で抱え込まずに、専門家へ相談しましょう。
参考文献:
1.STAI検査とは | 日本精神医学研究センター
2.佐藤志保,佐藤幸子,塩飽 仁.採血を受ける子どもの非効果的対処行動の関連要因の検討.日本看護研究学会雑誌 2011;34:23-31
3.社本勇希, 西野岳, 檜垣 泰彦.VR 空間を利用した高所恐怖症における STAI の有効性の検証.信学技報 2018;117:31-36
4.宗和守.手術看護認定看護師が実施する術前看護外来による不安軽減の効果―新版 STAI を用いた評価―.日手看会誌 2022;17:192-198
5.一般社団法人日本公認心理師協会 保健医療分野委員会. 【解説】診療報酬に収載されている公認心理師が関与する業務―令和6年度診療報酬改定―2024 年 4 月






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