
中国政府は、低迷する出生率を押し上げる狙いから、避妊薬や避妊具に適用してきた免税措置を撤廃し、消費財の標準税率である付加価値税13%を1月1日から適用しました。 これまで避妊関連製品は人口抑制政策の一環として優遇されてきましたが、今後は一般の消費財と同じ扱いとなり、価格上昇を通じて利用抑制と出生増を促す思惑があるとみられます。
一方で、中国の人口動態はすでに大きく転換点を迎えています。中国国家統計局の発表によると、2024年末の総人口は14億828人と、前年末から139万人減少し、建国以来初めて3年連続の人口減少となりました。 出生数は954万人と8年ぶりに前年を上回ったものの、死亡者数1093万人を下回り、減少傾向に歯止めはかかっていません。
中国政府はこれまでも、出産や子育てを後押しするための支援策を相次いで打ち出してきました。複数の省や都市が第2子・第3子の出生補助金を導入し、最大で2万元規模の現金給付を行う地域もあるほか、0〜3歳の子ども1人あたり年間3600元の育児手当や、幼稚園費用の減免などを進めています。 さらに大学では結婚や恋愛、出産、家族の価値を強調する「愛の教育」を推進するなど、価値観への働きかけも強めています。
それでも合計特殊出生率は1前後にとどまり、日本を下回る水準に落ち込んでいると報じられています。 背景には、1980年代から2015年まで続いた一人っ子政策など、30年以上にわたる厳しい産児制限の影響が大きいと指摘されています。 急速な都市化の進展と住宅価格の高騰、教育費や医療費の負担感に加え、不安定な雇用や景気減速への不安から、若い世代を中心に結婚や出産に慎重な姿勢が広がっていることも、出生回復を難しくしている要因です。
若者の価値観と経済構造、課税策だけでは埋まらない溝
専門家の間では、今回の避妊具への課税は、出生数を一気に押し上げる「切り札」というより、政府が少子化対策を一段と優先課題に位置付けていることを示す象徴的な意味合いが強いとの見方が有力です。 避妊具は比較的価格が低く、13%の税率上昇が実際の利用行動に与える影響は限定的だとみられる一方、若年層の間では「そもそも子どもを持つ必要性を感じない」という価値観の変化が進んでいると分析されています。
また、出生数はこの10年でほぼ半減しており、婚姻件数の落ち込みも続いています。 老齢人口の増加で社会保障負担が重くなるなか、教育や住宅にかかる将来負担を懸念し、結婚や出産を先送り、あるいは放棄する選択をする層が拡大しているとされます。 その意味で、今回の課税措置は少子化の「結果」としての避妊行動を狙い撃ちにする対策であり、若者の生活不安やジェンダー不平等、長時間労働といった構造的な要因に正面から向き合わない限り、効果は限定的だとの懐疑も根強いです。 今後は、税制や補助金といった短期策にとどまらず、雇用や住宅、教育制度を含む包括的な改革を通じて、「子どもを持ちたいと思える社会」をどう実現するかが問われていきます。









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