
著名投資家テスタ氏が5月1日、自身の証券口座が乗っ取られたとX(旧:Twitter)で公表したことで、投資コミュニティに衝撃が走っています。
「乗っ取られました 証券会社は楽天証券です」という最初の投稿から始まり、テスタ氏はカスタマーサポートとのやり取りをリアルタイムで共有しました。
「次の部署へ・・今日とっても忙しいのだけど・・」「まずいめちゃくちゃ時間ないのに電話一旦切って調べてかけなおすとのこと」など、業務多忙な中での対応に苦慮する様子が伺えます。
特に注目すべきは、テスタ氏が楽天証券の二段階認証システムについて「意味を成していない」と指摘した点です。自身の判断に誤りがあれば謝罪する姿勢を示しつつも、より多くの利用者を守るために敢えて警鐘を鳴らしたと説明しています。
2005年にわずか300万円から投資を始め、2024年には累計利益100億円を達成したテスタ氏の口座が標的になったことで、オンライン証券のセキュリティ対策に対する疑問の声が高まっています。
SNS上では、「テスタさんのような専門家でも被害に遭うのか」「楽天証券をぜひ訴えてください」「ガチなのか、ネタなのか分からん」「証券口座の乗っ取りとか怖すぎる」などの声が寄せられています。
急増する証券口座の乗っ取り 業界が補償へ方針転換
証券口座の不正アクセス被害が深刻化しています。金融庁の発表によると、2025年2月から4月中旬までの約2ヶ月半で1,454件の被害が確認され、無断売却された株式は500億円を超える規模に達しています。
この状況を受け、証券業界は大きな方針転換を行いました。これまで補償に慎重だった各社が、被害者への金銭的補償を検討する方向に舵を切ったのです。
日本証券業協会が各社と対応を進めており、補償額などの詳細は各社の判断に委ねられる見込みです。
被害の手口は主にフィッシング詐欺によるもので、偽サイトに誘導されたユーザーのID・パスワードが盗まれています。
乗っ取られた口座では、保有株式の無断売却や、身に覚えのない中国企業株の購入が行われており、「相場操縦」のために悪用されている可能性が高いとみられています。
対策としては、日本証券業協会が「多要素認証」の必須化を要請し、5月2日時点で69社が対応済みです。しかし、テスタ氏の事例が示すように、現行のセキュリティ対策には依然として脆弱性が存在する可能性があり、より強固な防衛策の構築が急務となっています。