
商船三井は1日、イラン海軍からエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の航行を「いかなる船舶も通行を禁止する」と無線で通告されたことを明らかにしました。 アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃を受けて周辺情勢が急速に悪化する中、日本企業は相次いで同海峡周辺での航行を停止しており、海峡は事実上の封鎖状態となっています。
ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾を結び、中東湾岸諸国で産出される石油や天然ガスを運ぶ海上交通の要衝で、世界の原油供給量の約2割がこの海域を通過しているとされています。 読売新聞によりますと、日本郵船や川崎汽船も含む日本の大手海運3社はホルムズ海峡の通過を停止し、ペルシャ湾に向かう船舶は海峡手前で待機させるなど、安全を最優先した対応を取っています。 商船三井も、ペルシャ湾に向かっていた自社管理船を同湾に入域させず、同湾から出航予定だった船舶を安全な海域で待機させているということです。
一方、イラン側の発表にも揺らぎが見られます。イランの準公営メディアであるタスニム通信は2月28日夜、革命防衛隊がホルムズ海峡で船舶の航行を禁じたと報じ、「海峡は事実上閉鎖された」と伝えました。 これにより、各国の船舶運航会社はリスク回避の動きを一段と強めており、同海峡に向かっていた複数のタンカーが進路を変更するなど、物流網への影響が広がりつつあります。
日本は原油輸入の9割以上を中東地域に依存しているとされ、読売新聞などはホルムズ海峡の封鎖が長期化した場合、日本経済への影響は避けられないと指摘しています。 現時点では国内の石油元売り各社は「直ちに供給に支障は出ない」としながらも、原油価格の高騰や調達コストの上昇が懸念されており、政府と企業は情勢の推移を注視しながら対応を協議しています。
イラン外相は「封鎖の意図なし」と主張 市場はなお警戒
こうした中、中東の衛星放送局アルジャジーラは1日、イランのアラグチ外相がホルムズ海峡を封鎖する意図や計画はないと述べたと伝えています。 外相は、イランにはさまざまな選択肢があるとしつつも、海峡の封鎖は公式には認めておらず、イラン政府として船舶の航行を妨害しない立場を強調しました。
しかし、商船三井が受けた「いかなる船舶も通航を禁止する」との通告は革命防衛隊側からのものとされ、政府の公式見解と現場レベルでの対応との間に乖離が生じている可能性も指摘されています。 海峡周辺には、巻き添え被害を懸念して多くの船舶が停泊しており、航行の安全性が担保されない限り、各国の船社は運航再開に慎重な姿勢を崩していません。
ホルムズ海峡は、日本向けを含む世界の原油・LNG輸送の大動脈であり、封鎖や通航リスクの高まりは国際エネルギー市場に直結する問題です。 仮に封鎖状態が長引けば、原油価格の一段の高騰に加え、代替航路の確保や在庫取り崩しなど企業側のコスト増を通じて、ガソリン価格や電気料金など生活コストへの波及も避けられないとみられます。 日本政府は中東情勢の緊迫が続く中でエネルギー安全保障の課題が改めて浮き彫りになったとして、産油国との対話や供給源の多角化を含む中長期的な対応策の検討を迫られています。












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