水深6000メートルからレアアース泥採取に成功、国産化への前進

水深6000メートルからレアアース泥採取に成功、国産化への前進

海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」が、南鳥島(東京都)沖の水深約6000メートルの深海底からレアアース(希土類)を含んだ泥の試掘に成功したことが2月1日、松本洋平文部科学相の発表で判明しました。水深6000メートルの海底からの回収に成功し、国内でのレアアースの採掘に向けた第一歩となります。

「ちきゅう」は1月12日に静岡市の清水港を出航し、南鳥島近海の排他的経済水域(EEZ)内で試験を実施していました。 今回の採掘方式は、海底油田などで用いられる「泥水循環方式」 に独自技術を加えた「閉鎖型循環方式」で、船からパイプを海底まで降ろし、海水圧で泥を船上に押し上げて回収する仕組みです。

2013年、東京大学の加藤泰浩教授らの研究チームが、南鳥島近海の海域でレアアースが高濃度に含まれている泥を発見しました。 最大1600万トンのレアアースがあるという試算があり、これは国別埋蔵量で世界3位に匹敵する量です。

 内閣府の大型研究プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、約400億円かけて泥を破砕する「採鉱装置」や回収用の特殊なパイプなどの機器開発を進めてきました。 2022年には水深約2470メートルの茨城県沖で泥の吸い上げに成功していましたが、今回は倍以上の水深で、非常に大きな水圧がかかる環境でも動作することを確認しました。

レアアースはスマートフォンや医療機器、電気自動車など最先端機器に必要不可欠な鉱物です。 特にネオジムやジスプロシウムは、強力な磁石を用いたEVモーターや風力発電機、MRI(磁気共鳴画像装置)などの医療機器に欠かせない材料となっています。

レアアースの安定供給へ、中国依存からの脱却を目指す

中国は1月6日、軍民両用品の日本への輸出規制強化を発表し、レアアースが対象に含まれる可能性があることで、日本経済への影響が懸念されています。日本政府は国産レアアースの開発を加速し、中国への依存低減に向けた姿勢を明確にしました。

本格的な採掘試験は2027年2月に実施され、1日あたり350トンの掘削試験に移行する予定です。経済性や産業利用の可能性はその後に検討されます。

海洋研究開発機構の大和裕幸理事長は、南鳥島のような遠隔地から泥を輸送し利用する場合「他の国から買うより、どう考えても高くなる」としながらも、「10倍のコストをかけてでも取るかどうか、考えるためのデータを出す」と試験の意義を説明しています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. SBI北尾社長、AI活用で採用大幅削減を命令 金融界で人員再編加速
    SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は3日、都内で開催されたイベントに登壇し、人工知能(AI)…
  2. NetFlix
    ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準々決勝が日本時間14日に開幕するのを前に、日本国内で…
  3. イラン、停戦条件に「再攻撃しない保証」要求 ホルムズ海峡封鎖でエネルギー市場揺らぐ
    イランと米国・イスラエルとの武力衝突が続く中、イラン政府が停戦の条件として「将来の再攻撃を行わないこ…

おすすめ記事

  1. 2025-8-25

    FC2創業者の高橋理洋被告に執行猶予判決 弁護側は「日米の価値観の違い」主張し控訴へ

    動画投稿サイト「FC2」でわいせつ動画を配信した罪に問われていたFC2創業者の高橋理洋被告(51)に…
  2. モー娘。北川莉央、活動休止継続を発表 12月復帰目指し準備進行中

    2025-9-12

    モー娘。北川莉央、活動休止継続を発表 12月復帰目指し準備進行中

    アイドルグループ「モーニング娘。'25」の北川莉央(21)が、当初予定していた今秋の活動再開を延期し…
  3. 「【論文紹介】 無痛分娩と オキシトシンの 使用による 児の自閉症リスク上昇 との関連」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

    2024-10-27

    【論文紹介】無痛分娩(分娩時の硬膜外麻酔による鎮痛)とオキシトシン(陣痛促進剤)の使用による児の自閉症リスク上昇との関連

    今回は、分娩時の硬膜外麻酔による無痛分娩で生まれた子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD:Autis…

2025年度矯正展まとめ

2024年に開催された全国矯正展の様子

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る