格付け大手フィッチが米国債を「AAA」から「AA+」に引き下げ 市場に衝撃走る

格付け大手であるフィッチ・レーティングスは1日、米国債の格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げたと発表しました。将来の財政状況の悪化と、増加する政府の借入負担を考慮したこの決定は、市場に衝撃を与えました。

政府債務の上限、通称「債務上限」についての対立は、米国の二大政党、民主党と共和党の間で白熱。結果的に、今年の6月にデフォルト(債務不履行)は回避されましたが、フィッチ・レーティングスは「繰り返される政治対立が財政運営の信任をむしばんでいる」と懸念を表明しました。

さらに同社は、国内総生産(GDP)に占める財政赤字の比率が上昇すると予想しています。具体的には、低成長と金利上昇の影響を受けて、2025年には6.9%に達するとの見通しを示しました。2022年の比率は3.7%なので、これは大幅な増加となります。

この1件に対してネット上では、「とは言っても世界一安全な債権」「老後のためにも今のうちに買いだな」「日本は遥か20年前にそのレベルだった」などの声があがっています。

米財務長官「正当な根拠がまったくない」と反論

今回の格付けの引き下げに対し、ジャネット・イエレン米財務長官は「正当な根拠がまったくない」と反論しています。フィッチ・レーティングスの広報担当者は、今回の判断について「政治的な二極化や財政赤字の悪化、債務負担の高まり」といった複数の要因を考慮したと述べました。

また、「過去20年間、財政のガバナンスが悪化しており、また政治的な二極化が進んでいることが、債務上限をめぐる度重なるこう着状態につながっている」と指摘しています。米連邦政府に対し、同社は過大な財政支出と借入習慣の改革を求め、その深刻な結果が米経済や世界経済に及ぼす可能性について警告しました。

米国債の格下げ発表はウォール街に衝撃を与えており、8月2日の取引ではS&P500、ダウ平均、ナスダックの主要3指数すべてが約1〜2%下落しました。

なお、2011年にもS&Pグローバルが米国債の格付けを「AAA」から「AA+」に一段階引き下げた過去があります。そのS&Pも「もしも政治に悪影響を及ぼす予想外の出来事が、アメリカを支える制度の強さや長期的な政策決定の妨げになったり、世界の主要な準備通貨としてのドルの地位を危うくしたりした場合」には、今後2~3年で再度米国の格付けを引き下げる可能性があると警告しています。

そして、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、「AAA」の米国債格付けを維持していますが、財政問題が解決しない場合には、格下げもあり得るとの立場を明らかにしています。このような複雑な情勢の中で、経済にどのような影響が出るのかが今後の注目点となるでしょう。

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