米トランプ政権、レアアース「貿易圏」構築へ 55カ国参加の閣僚級会合で最低価格制度を提案

トランプ米政権は2月4日、レアアース(希土類)をはじめとする重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化を目的とした初の閣僚級会合を首都ワシントンで開催しました。日本や欧州連合(EU)加盟国、インドなど55カ国・地域が参加し、ルビオ米国務長官が議長を務めました。会合ではバンス米副大統領が演説し、同盟国や友好国による「重要鉱物特恵貿易圏」の創設を提案しました。レアアースの採掘・加工で圧倒的なシェアを持つ中国に対抗し、適正な市場価値を反映した「最低価格制度」を導入することで、中国産の安価な重要鉱物が市場にあふれる事態を防ぐ狙いがあります。
バンス副大統領は「安価な重要鉱物が市場に大量供給されると価格が暴落し、投資家は撤退する。各国の採掘計画は頓挫してきた」と指摘し、生産の各段階で重要鉱物の最低価格を設定し、関税を用いて公正な市場をつくると説明しました。また、貿易圏に参加する国に対しては米国産業基盤へのアクセスを保証するとも述べています。
会合後、米通商代表部(USTR)のグリア代表は、日本・EUとの共同声明を発表し、3者で重要鉱物貿易に関する行動計画を策定する方針を示しました。多国間貿易イニシアチブとして「最低国境調整価格」や「価格差補助金」なども検討されます。さらに米国は30日以内にEUと覚書を締結するとしています。日本からは堀井巌外務副大臣が出席し、「重要鉱物の安定供給が世界経済の安定的な発展に不可欠」として、同志国との協力を強くコミットする姿勢を示しました。
ルビオ国務長官はこの会合で、鉱物資源安全保障パートナーシップ(MSP)の後継となる新たな多国間枠組み「FORGE(資源地政学的関与に関するフォーラム)」の創設を正式発表しました。FORGEを通じて、採掘・精製・加工からリサイクルまでの供給網全体にわたる同志国連携を推進していく方針です。
「プロジェクト・ボールト」で備蓄制度も始動 中国依存脱却へ攻勢強める
トランプ政権は重要鉱物の確保に向けた取り組みを急速に進めています。閣僚級会合の2日前にあたる2月2日には、トランプ大統領が民間企業向けとして初となる重要鉱物の備蓄制度「プロジェクト・ボールト」の創設を発表しました。米輸出入銀行の融資と民間資本を合わせて計約120億ドル(約1兆9000億円)を投じ、レアアースやコバルトなどの備蓄を進める計画です。GMやボーイング、グーグルなども参加する見通しで、中国の輸出規制による供給途絶リスクに備えます。
こうした動きの背景には、中国がレアアースの輸出規制を外交カードとして利用している現実があります。2025年には米国向けに重要鉱物の輸出管理が強化され、2026年1月には日本向けの規制強化も発表されました。IEAによれば中国はレアアース加工能力の約9割を握っており、各国の安全保障上の脅威となっています。「貿易圏」構想と「備蓄制度」の両輪で中国依存からの脱却が加速するか注目されます。









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