19日に北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の試験発射が18日に行われ、成功したことを報道しました。韓国側は、前回失敗したと推定されるミサイルを再度発射したとみています。
韓国軍によると北朝鮮が午前10時15分頃、平壌の順安付近から日本海に向けてICBM1発を発射しました。飛距離は1,000キロ程度で、高度は約6,100キロまで達したとされています。
また、日本政府によると、ミサイルは通常より角度をつけた「ロフテッド軌道」で発射され、発射してから約69分後に北海道西側の排他的経済水域の内側に着弾したとみられています。
試射は重要戦略兵器の性能を検証するためだとされており、金正恩朝鮮労働党総書記は「われわれの核戦力は、いかなる核の脅威も抑止できる最強の能力を確保した」と発言しました。
また、「米国と敵対勢力の軍事的威嚇が露骨になっている情勢は、核抑止力向上の実質的加速化を求めている」と述べたあと、米韓などに対しては「われわれへの軍事的対応は自滅だということをより明白な行動で示す必要がある」と強調しました。
ミサイル発射の件について浜田防衛相は、弾頭の重量によっては1万5,000キロを超え、アメリカ本土が射程に含まれる可能性があるとの考えを示しています。
日・米・韓の連携を強めるほど北朝鮮の軍事的な挑発が増す
現地視察をした正恩氏は米国に対し、「敵が脅威を与え続けるならば、核に対しては核で、正面対決には正面対決で応えるだろう」などと警告しました。視察には李雪主夫人と娘が同行したとされており、北朝鮮メディアが娘の動向を報道したのは今回が初めてです。
北海道西側の排他的経済水域の内側に着弾したことについて、岸田総理大臣は「北朝鮮に対して厳重に講義を行った」と発言し、さらには「これまでにない頻度で挑発行動を繰り返している。断じて容認することができない、ということを改めて強く申し上げる」と強調しました。
また、韓国軍はアメリカ軍と共にステルス戦闘機から誘導爆弾による打撃訓練を行い、「挑発に断固対応する」などと北朝鮮に警告を発しています。
しかし、日・米・韓の連携を強めれば強めるほど、北朝鮮の軍事的な挑発はエスカレートするばかりです。正恩氏は、戦略兵器の開発加速やICBM部隊と「戦術核運用部隊」の訓練強化を指示するなど、関係国に対してさらなる挑発を示唆しています。今後の北朝鮮の動きに注目が集まります。