
NTTドコモが10月4日、マネックス証券の子会社化に踏み切ったことを発表しました。マネックス証券が新設する中間持株会社「ドコモマネックスホールディングス」の株式の約49%を、NTTドコモが第三者割当増資などを通じて約500億円で取得します。
「d払い」や「dポイント」を活用した資産形成サービスを展開するほか、ドコモショップにおける投資講座の実施など、一連の金融サービスの強化が予定されています。さらに「dポイント」の還元や「d払い」「dカード」を通じた入出金、積立サービスの実現も視野に入れているとのことです。
また、ドコモショップは投資情報の提供や金融教育コンテンツ、AIを活用した顧客サポート、さらにはSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)などの次世代金融商品の展開も予定しているとされます。
NTTドコモは保有する9,600万件の会員データとマネックス証券のデータベースをかけ合わせ、「金融CRMの構築」を目指します。ネット上では、「マネックス証券は嫌いじゃないけどこれでどうなるか。ちょっと不安」「SBI証券が仕掛けたこのタイミングでの子会社化は中々興味深い」などの意見が見られました。
証券市場での競争が激化|2024年から新NISAがスタート
通信業界の成長鈍化を背景に、NTTドコモはマネックス証券の子会社化を進め、携帯市場の飽和と人口減少への対応策として、金融分野への本格的なシフトを図っています。特に注目されるのが、2024年からスタートする新NISAです。
新NISAの投資可能額は年間360万円に増え、一度開設すれば他社に移行する理由がなくなるため、これが各社の証券サービスへの注力を後押ししています。中でも、楽天証券の口座数は4月に単体で国内最多となる900万件を超え、6月末には924万件を上回りました。
一方、auカブコム証券とPayPay証券もそれぞれ160万口座、52.5万口座(3月末)と、証券市場での競争が激化しています。ここにきて、NTTドコモも証券市場への本格参入を表明しました。
NTTドコモの井伊直也社長は「政府の資産所得倍増プラン+新NISAでマネーライフが大きく変わっていく」との見解を示しました。また、各社が日本株取引手数料の無料化を行う中、マネックス証券は手数料の無料化を行わない方針を発表。
9月4日に開催されたマネックスグループの戦略発表会で、マネックスグループの松本大会長は「手数料無料化は、どう考えても赤字になる。どこかでその分を稼がなければならない。歪(いびつ)な状況が発生するのではないか」とコメントしています。