中高年の管理職が転職で失敗する共通点とは?キャリアを築くための「3つのカギ」

中高年の管理職が転職で失敗する共通点とは?キャリアを築くための「3つのカギ」

年末辺りから年度末にかけて目立ってくるCMに、転職サイト/エージェントがあります。これは年度始まりを4月にする企業が多いためと、冬のボーナスをもらった後に辞めるため、時間的ラグからみても意味はあるものといえます。

では転職、特に中高年の転職において、有利で有効なものは何でしょう。ヘッドハンターとして、取締役候補や高度専門職など比較的高収入な人材を見てきたり、中高年の再就職支援をしていた際の経験など、中途採用や管理職採用において見えてくるものを説明します。

<目次>

転職のスタートラインにすら立てない人の共通点

転職に悩んでいる管理職の男性

新卒と違い、中途採用においてはその職務経歴がすべてです。中途採用、いわゆるキャリア採用であれば、第二新卒以外、職務実績がなければ成り立ちません。一方で、何度か転職を経験している人ではなく、初めて転職する人、特に中高年になるまで、一度も転職したことが無い人に共通する危険があります。

それは、その最大のバリューである業績を可視化できないこと。異動や昇進、ジョブローテーションはあっても、同じ社内やグループ間であれば、雇用は継続し、あらためて職務経歴書や面接を受けることはまずありません。結果として、自分自身のキャリアや業績を客観視する機会がほとんどないのが普通です。

それはご自身の能力含めて分析ができていないということであり、転職先企業もご自身への評価ができないということです。転職において、業績や能力の可視化ができない人は、スタートラインにすら立てないのです。

ヘッドハンターをやっていた時代、何万も何十万もの人材母数のトップにいるような、外部からでも自ずと能力や業績を図ることができる、例外的な方ごくごく一部の方については、イメージ通り、ある日突然現れて「あなたをスカウトしたい」と告げたことはあります。

しかしそんな完全ヘッドハントはごくごく一部です。自分で自己業績を明確にできていない人で、転職に成功できることはまずないでしょう。

第1のカギ:経験の「可視化」

可視化した自分の経験

一流大卒、一流企業勤務経歴だけで転職できるようなことはまずありません。特に中高年ともなれば、業績以外に雇用者はほとんど興味はないでしょう。

自己啓発で働きながら国内MBAや、かつての卒業大学より偏差値上位の大学院を出た、仕事とは直接関係ない資格を取得したなどは、すべて「Nice to have」に過ぎません。それで採用が決まることはまずないでしょう。そのような副次的理由で、高価な人件費がかかる中途採用をする意味がないからです。

もちろん良い大学や有名大企業出身であることはマイナスにはなりません。問題はいかにその経験にバリューがあるか、しっかり説明できることが必須です。これこそが「中高年転職第1のカギ」です。

当然ですが、現社でしか通用しないようなものに意味はなく、「課長になった」「部長在職〇年」では何の説明にもなりませんので、その中身を明確にする必要があります。

「すごく仕事ができる」ではなく、自担当売り上げ/利益の変化や、回転率、在庫高・コスト、販管費といった、経営数値はかなり役立つでしょう。営業はもちろん、バックオフィス業務であっても、利益思考を持ち、業務を見ることができるか、管理職能力は数値化が死命を決します。

ただしあくまで自分自身の話であることが重要で、会社全体とか事業部門の業績ではほぼ話にならないでしょう。繰り返しますが、雇用者が見たいのは「会社」ではなく、「ご自身の能力」だからです。これを数値化によって可視化できなければ、まず説得はできないと思います。

第2のカギ:自らの開拓能力

仕事を通して成長させてきた自分の能力

キャリアの長い、慣れ親しんだ職場ではなく、ゼロクリアで新会社に行くということは、まったく異なる環境に身を置くということです。そのような環境変化、というより激変に耐えて成果を出し得るかどうかも重要です。

会社ありきで、今の会社では無双でも、実は実力ではなく、その会社の器や看板、「〇〇株式会社の課長だから売れていた」ということが、特に大企業出身者には珍しくありません。

逆に中小零細企業出身者にはこの下駄が無いため、実力のみで評価・判断される分、ギャップが少ないメリットもあるのです。ちなみに私自身も大企業経験がないため、恐らく何度もの転職過程では、実績のみで判断されたと思っています。

新たな開拓ができるということは、会社頼りではなくいかに自ら市場や環境を切り開いたかが重要となります。これは必ずしも華々しい成果だけとは限りません。デタラメで管理すらなかった職場に、原始的ながら初めて「管理」という概念を導入して、やっとまともな業務ができるようになった、といった、Before/Afterの変化を説明できることもかなり重要です。

特に中小零細企業であれば、会社のカンバンが通用しないことが珍しくないので、大企業出身者より、「自らの業績」アピールがしやすい可能性もあります。

第3のカギ:環境適応力

環境適応力

転職した後、前職でどれだけ偉かろうと、どれだけ成功していようと、採用を決めた経営陣以外の、ほとんどの周囲の社員には関係ない環境で仕事をすることになります。新たな環境への適応ができなければ、会社組織においてたった一人で成果など出せる訳がありません。

逆にギスギスした職場や混乱する社内コミュニケーションを改善したような環境改善能力は、高く評価されるでしょう。「調整力」「トラブル解決力」は経験値が大きく説得力を持ちます。

これまでの職場でトラブル対応により成果を上げたことなどは、かなり有力なアピールです。逆に、そうした面倒から距離を置き、成果だけアピールしても説得力が無く、信用されない可能性があります。

私は自分自身が何度もの転職において、特に人生の後半、管理職として新たな職場に就く際には、若いころ以上にこの適応には気を使いました。転職して早々に部門の管理者として部下が付くような場合、組織の管掌が重要な職務だと理解していたからです。職場の面倒ごとには自ら首を突っ込んでいくようにしていました。

逆に超大手、有名企業出身で中小企業に「下ってきた」ような感覚の人で、この環境適応ができず失敗していく人、鳴り物入りで転職して数カ月で退職してしまう人を、かなりたくさん見てきました。自分が責任者になった組織で転職者を採用した時には、必ず私自身がその方には、環境適応の重要性を入社前も後もかなりみっちりと教えたつもりです。

転職先では、周囲から鵜の目鷹の目で「どれだけデキるヤツか」を品定めされます。ヘッドハントで三顧の礼により迎え入れられたとしても、社員には何の関係もありません。こんなアウェイと遠慮の入り混じる異空間に適応できるかどうか、正に転職が決まっただけでは終わらないのが転職といえます。

カギ以外にも重要な「退職時の心得」

退職した会社を見る男性

さて、めでたく転職先から内定が出たらどうしましょう。その前に、おわかりとは思いますが、「転職成功」は当然ながら転職先からの「内定」です。雇用契約が成立するのは内定通知など書面のような完全な証拠があってこそ。これがなければ単なる口約束でしかなく、自分の人生を口約束で決めるなど、愚かなだけです。

知人などのつてで転職する際に、こうした契約関係をおろそかなままで進めることがないよう、厳重に注意して下さい。その会社のコンプライアンスの欠如を証明する証拠だと、私なら考えます。

現社を辞めるなら、残務整理はかなり重要です。後は野となれ山となれという気持ちになったとしても、現社のためではなく自分のために、退職の最終日まで、いやむしろ辞めることが確定しているからこそ、しっかり仕事をしましょう。「立つ鳥跡を濁さず」という精神論というより、どう転んでも損がないからです。

しっかり業務引継ぎができれば、ご自身の評価は確実に上がります。亡くなって初めて知る親の恩のようなもので、在職中わからなかったご自身のバリューが高まります。

また同業界であれば、退職後もどこかでご縁がある可能性もあり、いずれにしてももう辞める会社だと思えば、赤の他人。恨みつらみがあったとしても、他人だと思って、しっかり最後まで働くのは、実は自分のためなのです。

企業の採用意欲は高まっていますが、一方でなかなか中高年の転職がうまくいかないという声も聞きます。そんな時、この内容に照らして、本当に自分自身に欠けていないか等、チェックしていただければ、また流れは変わってくると思います。

増沢隆太東北大学特任教授

投稿者プロフィール

人事コンサルタント。産業カウンセラー。Yahooニュース公式コメンテーター。
危機管理コミュニケーション専門家として、企業不祥事やトラブルだけでなく、芸能人や政治家など著名人の問題でもさまざまなメディアでコメント発信をしている。「謝罪のプロ」と呼ばれ、NHKドキュメント20min. にも出演。

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