阪急阪神HD、西日本の鉄道で初となるネット銀行サービス参入へ  

阪急阪神HD、西日本の鉄道で初となるネット銀行サービス参入へ  

阪急阪神ホールディングス(HD)は、グループの阪急阪神カードと池田泉州銀行と提携し、2027年以降にネット銀行サービス「(仮称)Hankyu Hanshin cross BANK(阪急阪神ネットバンク)」を開始すると発表しました。 スマートフォン向けアプリから専用口座を開設し、預金や住宅ローンなどの金融サービスを提供する構想で、西日本の鉄道事業者としてネット銀行サービスを展開するのは初めてとなる見通しです。 サービス開始には、阪急阪神カードが池田泉州銀行を所属銀行とする銀行代理業の許可を受けることが前提となります。

新サービスでは、既存の銀行インフラを外部企業に提供する「BaaS(Banking as a Service)」の仕組みを活用し、池田泉州銀行が培ってきた金融ノウハウと、阪急阪神沿線に広がる鉄道・商業施設ネットワークを組み合わせることで、日常生活と金融サービスを一体的に提供する狙いがあります。 具体的には、グループの駅や商業施設内に設置された銀行ATMや、池田泉州銀行が展開する全ATMでの現金引き出し手数料を無制限で無料とするなど、日常利用を意識した優遇策を想定しています。

また、阪急阪神グループの共通ポイントである「Sポイント」との連携も特徴の一つです。ネットバンクの利用状況に応じて、沿線の商業施設での買い物や飲食で使えるSポイントや、グループ施設で利用可能な特典を付与することが検討されており、金融サービスとリアル店舗の送客を相互に高めるエコシステムの構築を目指します。 池田泉州銀行は京阪神エリアに密着した店舗網と住宅ローンなどの商品ラインアップを持っており、沿線住民のライフステージに応じた提案力を高めるパートナーとして位置づけられています。

近年、事業会社と銀行が連携するBaaS型のデジタル金融サービスは拡大しており、阪急阪神HDもその流れに本格参入するかたちです。 首都圏ではすでに京王電鉄やJR東日本などが同様のサービスを展開しており、交通・商業インフラを持つ企業が個人資産や日常決済のタッチポイントを押さえる動きが一段と強まっています。

首都圏の先行事例とポイント経済圏の競争  

鉄道グループによるネット銀行サービスは、首都圏で先行事例が相次いでいます。京王電鉄は住信SBIネット銀行の「NEOBANK」サービスを活用し、京王パスポートクラブと連携した「京王NEOBANK」を2023年9月27日に提供開始しました。 京王パスポートカード会員を対象に、銀行サービスや住宅ローンの利用状況に応じて、京王沿線約750店舗で利用できる京王ポイントが貯まる仕組みで、鉄道グループとして国内初のフルバンキングサービスと位置づけられています。

JR東日本は楽天銀行を所属銀行とする銀行代理業スキームを使い、2024年5月9日にデジタル金融サービス「JRE BANK」を開始しました。 JRE BANKの口座保有者は、通常の銀行サービスに加えて、利用状況に応じてJRE POINTを獲得でき、貯めたポイントは駅ビルでの利用やSuicaへのチャージ、各種オンラインサービスなどに活用することができます。 サービス開始から約4カ月で口座開設件数は約39万件に達し、JR東日本は「予想以上に好調なスタート」と評価しています。

こうした先行事例では、共通する特徴として、  既存のネット銀行のインフラを活用するBaaSモデルであること、鉄道グループのポイントプログラム(京王ポイントやJRE POINT)と銀行サービスを密接に連携させていること、鉄道・商業施設・ECなどグループ事業とのクロスユースを通じて、ポイント経済圏を拡大していることが挙げられます。

阪急阪神HDの「Hankyu Hanshin cross BANK」も、Sポイントと連動した特典設計や、沿線ATM手数料無料といった日常利用の利便性を打ち出しており、京阪神エリアにおける独自のポイント経済圏の強化が焦点となります。 交通・小売・エンターテインメントを束ねる大手私鉄グループが金融領域に踏み込むことで、利用者の行動データと決済・資産情報が一体で蓄積される可能性があり、今後は個々のライフスタイルに合わせたサービス提案やダイナミックプライシングなど、新たなビジネスモデルへの波及も注目されます。

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