
日本政府が約束した総額5500億ドル(約84兆円)の対米投融資について、第1弾となる3つのプロジェクトが決定したと、トランプ米大統領が17日に発表しました。 事業規模は合計約360億ドル(約5.5兆円)で、米中西部オハイオ州の大規模ガス火力発電事業、南部テキサス州での原油積み出し港の整備、南部ジョージア州の人工ダイヤモンド製造施設の開発で構成されます。
トランプ大統領は自身のSNSに投稿し、「これは米国と日本にとって歴史的な瞬間だ」と強調するとともに、こうした大型案件は「トランプ関税」がなければ実現しなかったと、自身の通商政策の成果をアピールしました。 商務省によると、オハイオ州のガス火力発電所は出力9.2ギガワット規模とされ、実現すれば米国内最大級のガス火力発電設備となる見通しです。 この発電所は、人工知能(AI)向けデータセンターなどの電力需要増加も見据えた基幹インフラと位置づけられており、ソフトバンクグループや東芝など日本企業も機器供給などで関心を示していると報じられています。
テキサス州で計画される原油積み出し港は、メキシコ湾岸エリアからの輸出拠点として整備され、年間200億~300億ドル相当の米国産原油を取り扱うと見込まれています。 エネルギー輸出力の強化により、米国の産油競争力向上と、日本を含む同盟国への安定供給につなげる狙いがあります。 一方、ジョージア州の人工ダイヤモンド製造施設は、自動車や半導体の加工などに用いられる工業用ダイヤの生産能力拡大を図るもので、現在中国への依存度が高い供給を多角化し、米国内需要を賄う体制づくりを目指します。
日本と米国は2025年夏の関税交渉で、米側が「相互関税」や自動車関税の引き下げに応じる代わりに、日本が2029年までの3年間で総額5500億ドルを投融資することで合意していました。 投資先の選定は、日米両政府の担当者による協議委員会などで議論したうえで、最終的にトランプ大統領が承認する仕組みとなっています。
エネルギー・経済安保の柱に 企業関心と今後の焦点
今回の第1弾決定を受け、日本企業の間では個別プロジェクトへの参画に向けた検討が本格化しています。 オハイオ州のガス火力発電事業については、ソフトバンクグループがAIデータセンター向け電源としての活用に関心を示すほか、日立製作所や東芝など大手重電メーカーが発電設備の受注を視野に入れていると報じられています。 原油積み出し港の整備では、米エネルギー企業マックスエナジーが中心となり、日本側の商社や海運企業が出資や運営面で関与する余地も指摘されています。
一連の対米投融資は、単なる景気対策ではなく、エネルギーや重要物資の供給網を強化する経済安全保障の柱としても位置づけられています。 特に人工ダイヤモンドの製造能力拡大は、半導体や電気自動車など戦略物資のサプライチェーンを巡る米中対立の文脈とも重なり、日本側にとっても対中依存を低減する効果が期待されています。
一方で、日本の巨額投資がどの程度国内雇用や技術基盤の強化につながるのか、国民的な議論はこれからです。 また、5500億ドルという規模から、今後の第2弾以降の案件選定では、再生可能エネルギーや次世代インフラなど、環境面や脱炭素と整合的なプロジェクトをどこまで組み込めるかも焦点となります。 トランプ政権の通商戦略の下で始動した大型投融資が、日米双方の経済や安全保障にどのような実績と課題を残すか、今後数年間にわたり注視されます。












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