生成AI利用のわいせつ物販売、全国初の摘発 新たな犯罪手法に警鐘

警視庁保安課は4月15日、生成AIで制作したわいせつ画像のポスターをネット販売したとして、男女4人をわいせつ図画頒布容疑で逮捕しました。AIで作られたわいせつコンテンツの摘発は国内初となります。

今回の事件では、愛知県の44歳男性小売業者や埼玉県の53歳会社員など20~50代の男女が、無料の生成AIツールを悪用。「脚を開く」などと指示して架空の女性の裸体画像を作成し、自宅やコンビニで印刷していました。

彼らは2024年2月から活動を開始しています。オークション出品時には「一点物」「美女」「AI」などとモザイク付きサンプルを表示。しかし、実際に送付する商品はモザイクなしの完全なわいせつ画像でした。

特に悪質な小売業者は約1年間で2,100点を出品し、約1,056万円を売り上げていたとされています。容疑者のうち3人は「手軽な内職」と犯行を認めていますが、28歳のパート女性は「違法とは知らなかった」と部分否認しています。

この事例は、テクノロジーの進化がもたらす新たな法的課題を浮き彫りにしています。実在しない人物の画像であっても、わいせつ物頒布罪が適用されることを明確にした重要な判例となるでしょう。

生成AIに関する課題や法律|法的・倫理的問題

生成AI技術の急速な発展は、画像生成の分野に革命をもたらす一方で、複雑な法的・倫理的問題を引き起こしています。

近年では、AIによって生成された架空の人物のわいせつ画像が販売され逮捕者が出るなど、法律の適用範囲も拡大しています。

生成AIが直面する主な法的課題は著作権侵害です。AIは学習データに含まれる著作権保護素材を基に画像を生成するため、有名作品やブランドの要素が無断使用される可能性があります。これは国際的な訴訟リスクをもたらし、開発者やユーザーに法的責任が発生します。

さらに深刻なのは、ディープフェイク技術による肖像権侵害で、実在する人物の顔を無断で使用したわいせつ画像や虚偽の状況を示す映像が作成され、名誉毀損や詐欺に悪用されるケースが増加しています。

これらのリスク対策として、AIで生成されたコンテンツへのウォーターマーク(透かし)の挿入や、法的権利を侵害する可能性のある生成を防ぐフィルタリング技術の導入が進行中です。

技術の進展に法整備が追いつくまでには時間がかかりますが、「実在しない人物」の画像であっても、わいせつ物頒布罪の適用対象となることが司法判断で明確になりつつあります。今後も法的枠組みと技術的対策の両面からの取り組みが求められています。

関連記事

コメントは利用できません。

最近のおすすめ記事

  1. 広告制作業に倒産ラッシュ 10カ月で39件、アナログ特化企業に逆風強まる
    東京商工リサーチの調査で、ポスターやチラシなど印刷物を手掛ける「広告制作業」の倒産が急増。2025年…
  2. テヘラン市街
    米国とイスラエルによる2月28日のイランへの軍事攻撃は、最高指導者アリ・ハメネイ師らが集まる場所を米…
  3. 商業宇宙ステーション「Starlab」、詳細設計審査を完了し製造段階へ
    アメリカのジョイントベンチャー「Starlab Space」が開発する商業宇宙ステーション「Star…

おすすめ記事

  1. 2023年11月23日木に栃木県の喜連川社会復帰促進センターで開催された「令和5年度きつれがわ矯正展」

    2024-1-15

    刑務所の中まで見れるイベント「きつれがわ矯正展」とは?

    2023年11月23日(木)に開催された「令和5年度きつれがわ矯正展」。年に一度、喜連川社会復帰促進…
  2. 「【論文紹介】 無痛分娩と オキシトシンの 使用による 児の自閉症リスク上昇 との関連」ライター:秋谷進(東京西徳洲会病院小児医療センター)

    2024-10-27

    【論文紹介】無痛分娩(分娩時の硬膜外麻酔による鎮痛)とオキシトシン(陣痛促進剤)の使用による児の自閉症リスク上昇との関連

    今回は、分娩時の硬膜外麻酔による無痛分娩で生まれた子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD:Autis…
  3. モー娘。北川莉央、活動休止継続を発表 12月復帰目指し準備進行中

    2025-9-12

    モー娘。北川莉央、活動休止継続を発表 12月復帰目指し準備進行中

    アイドルグループ「モーニング娘。'25」の北川莉央(21)が、当初予定していた今秋の活動再開を延期し…

2025年度矯正展まとめ

2024年に開催された全国矯正展の様子

【結果】コンテスト

【結果発表】ライティングコンテスト企画2025年9-10月(大阪・関西万博 第4回)

アーカイブ

ページ上部へ戻る