
中国系動画投稿アプリ「TikTok」の親会社「ByteDance(バイトダンス)」への捜査を、米政府が進めています。米誌フォーブスなどによると17日までに、バイトダンスの従業員らが米国人記者を監視しようとした問題で、米司法省とFBI(連邦捜査局)が同社を捜査しているとのことです。
同社の従業員らは、米国人記者のTikTokのデータに不正アクセスし、すでに解雇されています。当時、バイトダンスの梁汝波CEOは「我々が多大な努力を払って築き上げてきた国民の信頼は、数人の個人の不正行為によって大きく損なわれるだろう」と、従業員向けの電子メールで述べていました。
ネット上では、「韓国系通信アプリのLINEと同じ臭いがする」「社員個人で行っただけではないっぽいな」「中国のアプリを使うのが怖くなってきた」などのコメントが見られます。
なおバイトダンスのCEOは23日、米国議会の公聴会で初めて証言しました。「中国政府の影響は受けていない」と、データ流出の懸念を否定しています。また、「米国の1億5,000万人のユーザーの安全を守るために力を尽くしている」とも強調しました。
米政府のTikTok使用禁止の法案に対して反対の声も
米国議会下院外交委員会は3月1日、米国国内でTikTokの使用を禁ずる法案を賛成多数で可決しましたが、この法案について反対意見もあがっています。
バイトダンスは21日、米国国内でのTikTokの利用者数が1億5,000万人を超えたと明らかにしました。米国人が自己表現の一環として使用するTikTokを禁止することは、バイトダンスに対する影響力が大きすぎるほか、「表現の自由」を定める合衆国憲法修正第1条に違反するのではないか、という意見が寄せられています。
議会やバイデン政権がTikTok使用禁止の動きを進めれば、バイトダンス側は米国法に違反していることを主張する可能性があります。TikTokの広報担当者は、「対米外国投資委員会との合意に向けての努力を続け、メディアや市民社会、米国民に対して、当社のアプローチを周知する試みを続けている」と、Forbesの取材でコメントしました。
米政府がTikTokを使用禁止することに対し、ネット上では「さすがに米政府はやりすぎでは」「強盗のようなやり方」などの反対意見が寄せられています。今後の米政府とバイトダンスの動向に注目が集まります。