ChatGPTの「アダルトモード」再延期 諮問委全員反対も導入方針維持

対話型AI「ChatGPT」への成人向け性的テキスト会話機能「アダルトモード」の導入が、再び延期となりました。OpenAIは3月上旬に広報担当者を通じて「より多くのユーザーにとって優先度の高い作業に注力するためリリースを延期する」と説明。これは2度目の先送りとなり、新たな提供時期は示されていません。
アダルトモードは、サム・アルトマンCEOが2025年10月に初めて言及した機能です。年齢確認を済ませた成人ユーザーに限り、エロティカなどの性的なテーマを含むテキストベースの会話を可能にするもので、音声・画像・動画の生成は対象外とされています。アルトマン氏は「成人ユーザーを大人として扱う」との方針を掲げ、同年12月の提供を目指していました。
しかし社内で「コードレッド」が宣言され、コアサービスの改善が優先されたことで初回の延期が決定。その後、アプリ部門CEOのFidji Simoが第1四半期中の導入を表明していましたが、3月上旬の発表で再び先送りとなりました。
延期の理由としてOpenAIが挙げるのは、知能・パーソナリティの向上、パーソナライゼーション、よりプロアクティブな体験の実現です。「成人を大人として扱うという原則を今も信じているが、正しい体験を実現するにはさらに時間が必要だ」と広報担当者は述べました。
懸念の深さは、技術面にとどまりません。1月、OpenAIの「ウェルビーイング諮問委員会」の委員8名全員が、アダルトモードの導入に反対票を投じていました。委員の一人は、エロティックなコンテンツとChatGPTが持つ情緒的な絆の形成機能が組み合わさることで「性的な自殺教唆コーチ」が生まれるリスクを指摘しています。
加えて、年齢推定システムの精度にも課題が残るとされており、膨大な未成年ユーザーを抱えるChatGPTにおいてその影響は小さくありません。全会一致の反対意見を押し切り、開発推進の意向を示していたOpenAIですが、現時点では延期が続いています。
繰り返す延期が映す課題
アダルトモード構想の背景には、過度な制限によるユーザー離れを避けたいという事情がある一方、OpenAIはメンタルヘルスへの配慮を重視してきた経緯があり、方針の大幅な転換には社内外から強い警戒感があります。今回が2度目の延期であることは、アダルトモードが単なる機能追加にとどまらず、倫理・安全・事業戦略にまたがる全社的な判断を要するテーマだと浮き彫りになりました。
年齢確認技術の精度向上とプライバシー保護の両立など課題は多く、具体的なスケジュールは白紙のままです。日本国内でも生成AIの適切な利用に向けたルール整備が進むなか、海外ベンダーの成人向け機能の動向は今後の議論に影響を与えそうです。アダルトモードの最終的な形と運用方針は、表現の自由と利用者保護をいかに両立させるかを問う試金石となっています。












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