
最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は27日、北海道公安委員会によるヒグマ駆除ハンターへの猟銃所持許可取り消し処分を違法と判断しました。処分を適法とした二審・札幌高裁判決を破棄したもので、北海道猟友会砂川支部長の池上治男氏(77)の逆転勝訴が確定しました。猟銃所持許可の取り消しをめぐり最高裁が判断を示したのは初めてです。
池上氏は2018年8月、砂川市の要請を受けた非常勤公務員「鳥獣被害対策実施隊員」として出動し、市職員や警察官立ち会いのもとライフル銃1発でヒグマを駆除。北海道公安委員会は2019年4月、周辺の建物に弾丸到達の恐れがあったとして銃刀法違反にあたると判断し、猟銃所持許可を取り消しました。
一審の札幌地裁(2021年12月)は建物への命中事実がなく、行政指導等で足りるのに許可取り消しまで行ったのは裁量権の逸脱・乱用にあたるとして処分取り消しの判決を下しています。二審の札幌高裁(2024年10月)は跳弾リスクを重視し、処分を適法と判断していました。
今回の第3小法廷は発砲の危険性を認めつつも、池上氏が市の要請に応じて住民の安全確保にあたった公益性を重視。この活動を「周辺住民の生活環境の保護に資する重要な意義を有する活動」と位置づけ、具体的な人的被害が発生していないにもかかわらず、最も重い処分を科したことは「酷な面がある」と述べました。
さらに、厳しい処分はハンターの職務遂行を萎縮させる恐れがあると指摘。北海道公安委員会の判断は「重きに失する」として裁量権の逸脱・乱用にあたると結論付けています。判決を受け、北海道公安委員会は「判決を重く受け止める」とコメントし、猟銃返還に向けた手続きとともに、池上氏に不便や負担をかけた点について陳謝しました。
公益的駆除と安全確保の線引きが今後の焦点に
今回の判決は、有害鳥獣駆除における公益性と安全確保義務のバランスをめぐり、最高裁が初めて示した判断です。判決は安全配慮義務を否定したわけではなく、危険性を認めたうえで、即座に許可取り消しという最も重い処分を選択するのではなく、指導など段階的な対応の検討を求めた内容です。
処分以降、池上氏が支部長を務める道猟友会砂川支部は発砲によるクマ駆除を拒否し、砂川市は主に箱わなで対応してきた経緯があります。最高裁は判決で、厳しい処分がハンターの職務遂行を萎縮させる恐れがあると指摘しています。
クマによる人身被害が全国的に急増するなか、自治体と猟友会の連携体制や安全対策の具体化は引き続き求められる課題です。なお、鳥獣保護管理法の改正により、2025年9月からは市街地でも自治体の判断でハンターが発砲できる「緊急銃猟制度」が始まっており、今回の最高裁判決はこうした制度運用の在り方にも影響を与えそうです。






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