シェアオフィス大手のWeWorkが破産申請 約7兆円の企業価値がほぼ消滅

シェアオフィス業界を席巻したWeWorkが、11月6日(現地時間)に日本の民事再生法に該当する連邦破産法第11条の適用を申請しました。株式は8月にニューヨーク証券取引所から上場廃止となり、11月1日にはその評価額がわずか約6,000万ドル(約90億円)にまで落ち込んでいます。
一時はスタートアップ界のホープとして脚光を浴びていた創業者アダム・ニューマン氏は追放され、その当時470億ドル(約7兆円)とされていた企業価値はほぼ消滅しました。
ウォール・ストリート・ジャーナルは先週、「早ければ2023年11月上旬に適用を申請する可能性がある」と報じていました。当時、WeWorkの広報担当者は「憶測についてはコメントしない」と述べていましたが、経営状況はその後も好転しませんでした。
2021年には90億ドルの評価額を記録したものの、2022年の後半には40店舗を閉鎖。さらに2023年には債務問題で苦しみ、春には約15億ドルの負債を削減し、他の債券の期日を延長することで何とか現金を確保しようと試みましたが、それも虚しく足場を固めるには至りませんでした。
そして、WeWorkは10月に予定されていた利払いの一部を支払えずに滞納し、格付け会社のフィッチから「高い資金燃焼率は2023年まで続くと予想され、それを改善して債務不履行を回避できるようになるのかどうかは不透明だ」との指摘を受けています。
ソフトバンクを含む投資家に深刻な影響 ニューマン氏は復活
かつて470億ドルの評価を誇ったこの企業の衰退は、特にソフトバンクを含む投資家たちに深刻な影響を及ぼしています。ソフトバンクはWeWorkの大株主として、近年のトラブルで著しい損失を被っています。
他のベンチャーキャピタルも市場の不安定さを感じており、最近になって株を手放した可能性があることが示唆されています。ベンチマークは、春にはまだWeWorkの約3%に相当する2,000万株以上を保持していました。しかし、8月にはその株式のうち数百万株を、18.5セントから23セントで売り払ったと報告されています。
インサイト・パートナーズも同様に春頃に2%近い株式(1,300万株)を保有し、その後売却した様子です。
一方で、アダム・ニューマン氏は2023年初めにWeWorkの普通株6,800万株以上とクラスC株2,000万株近くを保有していましたが、WeWorkの株で大打撃を受けながらも新たなスタートアップを創業し、見事に復活を遂げています。2022年8月には、ベンチャーキャピタル大手のアンドリーセン・ホロウィッツから3億5,000万ドルを調達しています。これは、同社からの出資としては過去最高額です。