宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、無人探査機の「スリム(SLIM)」が月面に着陸したと発表しました。この快挙により、日本は月面着陸を果たした世界で5番目の国となりました。
目標地点から100メートル以内に着陸するという主要ミッションについて、国中均理事は「個人的な感触としては、ほぼできたと考えている」と述べています。着陸後、スリムは通信を正常に確立できていましたが、太陽電池による発電はできていなかったとのことです。
発電ができていなかったことから、バッテリーが動作する数時間で可能な限りの探査データを収集。太陽の当たる角度が変われば、再び太陽電池が作動する可能性があるとのことです。
スリムの「ピンポイント着陸」の成否が判明するのには約1ヶ月を要します。この探査機は、ピンポイント着陸技術と小型探査機システムの開発を目的としており、国中均理事は「予定通りのコースを描いていたことから、個人的にはピンポイントランディングが実証できたというふうに考えている」とコメントしました。
約4ヶ月間の飛行を経て月面へ着陸|ピンポイント着陸技術成功の鍵
2023年9月に種子島宇宙センターから打ち上げられたスリムは、約4ヶ月間の月への飛行を経て月面への着陸を果たしました。ピンポイント着陸技術が実現すれば、これまで降りられなかった月面の地形にも着陸可能になると考えられています。
月の北極・南極には資源が存在する可能性があり、ピンポイント着陸技術が将来的に重要になるとJAXAは考えています。この技術が成功すれば、日本の宇宙開発力を世界に示す機会になると期待されています。
米レスター大学のブレディン・ボウエン准教授は、「より多くの国々がこれまで以上に月に関心を寄せる中、日本が時代に対応できることを示すことになる」とコメント。また、「(米国主導の)国際月探査『アルテミス計画』でも、日本が信頼できるパートナーだと示すことになる」と指摘しています。
ピンポイント着陸技術の成功には、特殊な航法カメラによって月面を撮影し、目印となるクレーターを認識すること、そして着陸時の衝撃を和らげるための着陸方法を確立することの2つが鍵となります。JAXAは航法カメラによる着陸技術の成功を確信していますが、着陸方法の確立についてはまだ分析中を続けています。