米Googleの検索独占を巡る訴訟で、米独占禁止当局の司法省などが同社の分割を含む是正策を計画していることが明らかになりました。スマートフォンのOS「Android」やブラウザ「Chrome」、広告配信基盤「AdWords」などの事業売却が柱となる案が検討されています。
また、検索関連データの競合他社への提供や、AppleとのiPhone標準搭載契約の破棄、AI製品での不当な優位性防止措置なども要求される見通しです。
この動きは、5日に米連邦地方裁判所がGoogleの検索や文字広告が市場を違法に独占していたと認める判決を下したことを受けてのものです。裁判所は9月上旬にかけて、独占是正に向けた問題解決措置(リメディ)を審理し、合意を促す予定です。
司法省などは、会社分割を含むより強力な措置を求める方針ですが、Googleは控訴を予定しています。そのため、決着までには時間がかかると見られています。巨大テック企業の支配力を弱める画期的な手法となる可能性がある一方、長期化する法廷闘争に発展する恐れもあります。
Googleの事業分割、1984年のAT&T以来の最大案件へ
Googleの検索独占を巡る訴訟について、司法省は「裁判所の決定を精査しており、裁判所の方針と反トラスト法で適用可能な措置に沿って、次の適切なステップを検討する予定だ。現時点では何も決定していない」と説明しています。
同社の分割を含む是正策が実現すれば、1984年のAT&T以来、米独禁当局が企業を解体する最大の案件となります。Apple、Amazon、Metaなども独禁当局との訴訟を抱えており、裁判の行方は各国の当局への波及効果も大きいと見られています。
事業分割の要求は独禁当局にとって40年来の強力な武器となる可能性がありますが、実現には大きなハードルが待ち構えています。ニューヨーク大のエレナー・フォックス名誉教授は、「問題解決措置は懲罰的なものではなく、市場を利用者にとって良いものにするためのものだ。AT&Tのように(独占状態の解消に向けた効果が)明確な状況ではなく、司法省が立証する必要がある」と指摘しました。
また、スタンフォード大客員研究員のダグラス・メラメッド氏は、「自ら作り上げた事業部門の分離に裁判所は非常に消極的だ」と述べています。
1998年のMicrosoft訴訟でも、連邦地裁の分割命令が控訴審で差し戻され、最終的には和解に終わった経緯があります。裁判所は再度証拠を検証し、十分な議論を進めると見られています。
Googleは控訴を計画しており、分割を含む条件での和解は不透明です。ジョージ・ワシントン大のウィリアム・コバシック教授は、「この訴訟は最高裁に達し、少なくとも後1年半から2年は続く可能性がある」と長期化を予想しています。