国内初、主要2空港で完全無人自動運転トーイングトラクター実用化

国内初、主要2空港で完全無人自動運転トーイングトラクター実用化

2025年12月15日、国土交通省航空局、全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)、豊田自動織機、AiROの5者は、東京国際空港(羽田)と成田国際空港の制限区域内において、自動運転レベル4(特定条件下での完全無人運転)に対応したトーイングトラクターの実用化を開始しました。国内の主要2空港で同時にレベル4の実用化を行うのは国内初の取り組みとなります。トーイングトラクターは、空港の制限区域内で貨物や手荷物を搭載した台車を牽引する車両で、完全無人での自動運転実現に向けて、ANAはレベル4の試験運用、JALは運転者が必要なレベル3での運用を各社で進めてきました。しかし、グランドハンドリング業務の人手不足は業界全体の課題であり、このたび2社で歩みを揃えて実用化に至りました。

ANAは、豊田自動織機製の自動運転トーイングトラクター「3ATE25」を3台導入し、羽田空港の国内貨物搬送で国内線定期便の運用を開始しました。運行ルートは、第2ターミナルの60・61・65番スポットから東貨物上屋までの片道約1.5キロメートルで、所要時間は7分から8分です。2025年度中に3台を追加導入し、6台体制とする予定です。代表取締役社長の井上慎一氏は「2030年代には貨物搬送の半分にあたる50台規模での自動搬送を目指し、全国6空港への展開拡大を進めます」と将来計画を明かしました。

JALは、羽田空港でAiRO(ROBO-HI)製のトーイングトラクター「RoboCar Tractor 25T」を1台導入し、東貨物地区から西貨物地区までの約1キロメートルを5分30秒で走行して貨物コンテナの搬送を担当します。2026年8月ごろには2台を追加予定です。成田空港では、TractEasy製のトーイングトラクターを2台導入し、第2旅客ターミナル本館とサテライトの手荷物荷さばき場間で受託手荷物の搬送を行います。車両は広州空港設備(Guangtai)製のEV牽引車をベースに、ROBO-HIが開発した自動運転システムを搭載しており、路面工事が不要で、車両に搭載したセンサーのみで自車位置を把握して走行するのが特徴です。

安全確保のため、国土交通省航空局は羽田空港の東西ルートに、運転車両の死角解消を目的に監視カメラ2台を設置するなど、自動運転車両を支援する共通インフラの整備を実施しました。また、ANAの運行ルートには信号機2台が設置され、車両運行管理システム(FMS)と連動して、自動運転トーイングトラクターが主道路に合流する際に手動運転車両を赤点滅信号で一時停止させる仕組みとなっています。

人手不足解消へ、2030年に50台規模展開目指す

国土交通省航空局の宮澤康一局長は「2030年に訪日旅客数6000万人という政府目標を達成するには、グランドハンドリングの受け入れ体制を確実に確保することが重要です。生産性向上の鍵となるのは空港におけるDXの実現です」と述べ、国としても空港の特殊性を踏まえ、自動運転車両導入にあたってのルールや車両の自立的な走行を支える共通インフラの検討を進めていることを説明しました。宮澤局長はさらに「今回の実用化は大変大きなステップですが、あくまでも通過点に過ぎません。自動運転の車種や台数、導入区域や空港の拡大に向けて技術的に乗り越えなければならない課題がまだまだあります」と指摘し、会社や官民の枠を超えた関係者の共働と経営トップによる揺るぎないコミットメントの重要性を強調しました。今後は「空港DX技術の実装推進委員会(仮称)」を立ち上げ、新たな技術の開発と実装を進めるための枠組みづくりを急ぐ方針です。

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