JR東海は「リニア中央新幹線」の2027年の開業目標を公式に断念しました。会社では静岡の工事に約10年かかるとしており、仮にすぐに着工できた場合でも開業は2034年以降になる見込みです。
この計画は以前から2027年以降と修正されていましたが、JR東海の丹羽俊介社長は国土交通省での専門家会議にて、「2027年の名古屋までの開業は実現できる状況にはない」と明確にしました。この背景には、静岡県での工事が環境問題などにより着工できておらず、工事契約の締結後6年4ヶ月が経過しても進展がない状況があります。
丹羽俊介社長は、「一日でも早く着工できるよう全力を尽くしたい。地域の方々の理解を得られるように双方向のコミュニケーションを大切に真摯に取り組んでいく」と述べ、引き続き解決に向けた取り組みを進める姿勢を強調しました。
ネット上では、「このような国益や国家競争力に直接関わる事業を地方自治体の力で止めてしまって良いのかと思う」「このまま放っておいても永遠に先に進むことはないのは明白」「無理に静岡通る必要ないよね」などの意見が寄せられています。
愛知、岐阜、三重の東海3県の知事がコメントを発表
JR東海の丹羽俊介社長は、会議後の取材で「残念ながら、品川ー名古屋間の2027年の開業は実現できない。静岡工区の着工の遅れが開業の遅れに直結するものなので、一日でも早く静岡工区を着工できるように全力を尽くしてまいりたい」と述べました。
また、林官房長官も記者会見にて「引き続きJR東海に対し、早期開業に向けた努力を促すとともに、JR東海と静岡県の協議の状況を確認しつつ、静岡県をはじめとする関係自治体との一層の対話を促すなど、品川ー名古屋間の早期開業に向けた環境整備を進めていきたい」とコメントしています。
さらに、リニア中央新幹線の2027年開業断念の方針を受けて、愛知、岐阜、三重の東海3県の知事がコメントを発表しています。愛知県の大村秀章知事は、「沿線自治体の思いは切なるものがある。関係者が一丸となり、一日も早い全線開業の実現に取り組んでいく」とコメント。
岐阜県の古田肇知事は、「引き続き課題を一つ一つ丁寧に解決し、品川―名古屋間のできるだけ早い時期での開業を目指していただきたい」と語り、三重県の一見勝之知事は「開業の遅れはわが国の国益を損なっているのではないか。一刻も早く課題解決が図られるとともに、開業時期が明確になることを強く期待している」と、自身の考えを示しました。