日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞 日本の平和賞受賞は50年ぶり
ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(被団協)に授与すると発表しました。被団協は、1956年に結成された広島と長崎の被爆者の全国組織です。
約70年にわたって核兵器の廃絶を世界に訴え、原爆の写真展などを通じて草の根運動を続けてきました。その地道な活動が、核兵器の非人道性に対する認識を高めることに貢献したと評価されての受賞となります。
授賞理由について、ノーベル賞委員会のフリードネス委員長は「核兵器のない世界の実現に向けた努力」と「核兵器の使用がもたらす人道的惨事に対する認識を高めるために尽力してきた」ことを挙げました。
また、核兵器禁止条約の交渉会議では、被団協が中心となって約300万人分の署名を集め、条約の採択を後押ししたことも大きな功績だと述べています。フリードネス委員長は、「被団協をはじめとする被爆者代表の並々ならぬ努力は、核兵器の使用禁止という概念の確立に大きく貢献した」と称賛しました。
日本のノーベル平和賞受賞は、1974年の佐藤栄作元首相以来、実に50年ぶりのことです。授賞式は12月10日にオスロで開催され、賞金は約1億5,700万円が贈られます。2024年の平和賞候補には、197人と89団体の推薦があったとのことです。
被団協の箕牧智之代表委員、広島市の平和公園を訪れ受賞を報告
2024年のノーベル平和賞受賞が決まった被団協の箕牧智之代表委員は13日、広島市の平和公園を訪れ、核兵器廃絶運動の先人たちに受賞を報告しました。
箕牧智之氏は、原爆慰霊碑に向かって「核兵器廃絶を諦めません」と誓いの言葉を述べ、被団協の初代理事長である森瀧市郎氏や、前代表委員の坪井直氏の名前が書かれた花束を手向けました。
平和公園には多くの人が訪れており、箕牧智之氏は親戚に被爆者がいる女性や米国、ノルウェーからの旅行者と交流しました。写真撮影や握手を交わしながら、受賞の喜びを分かち合いました。
箕牧智之氏は、「森瀧さんや坪井さんをはじめ、被爆者や無念の死を遂げた人にノーベル平和賞をいただくことになりました」と報告。「坪井さんもきっと『箕牧、頑張れよ』と言ってくれていると思います」と、亡き同志への思いを語りました。
そして、「これからも世界中の人が協力して、核兵器をなくす運動に参加してほしい」と、次世代への継承と国際社会の協力を呼びかけました。