ヤマダホールディングス(HD)は、米テスラの家庭用蓄電池「パワーウォール」を全国の家電量販店で販売することを発表しました。
同社は全国約1,000店舗の直営店を展開しており、まずは25日に開店する神奈川県平塚市の店舗で販売を開始します。年内には大阪市内や松江市の店舗でも取り扱いを始め、順次全国に拡大していく方針です。
日本では太陽光発電の普及が進む一方で、蓄電池の導入は遅れています。2023年度までの住宅用太陽光発電の設置件数は累計330万件に上りますが、蓄電池の出荷台数は産業用を含めても93万台にとどまっているのが現状です。
政府は2030年度までに再生可能エネルギーの普及率を36〜38%とする目標を掲げており、その中でも太陽光発電は14〜16%を占める重要な電源として位置付けられています。太陽光発電の出力を安定させ、需要に合わせて効率的に活用するためには、蓄電池の普及が不可欠です。
今回のヤマダHDとテスラの提携により、家庭用蓄電池の導入がより身近なものになることが期待されます。
テスラの蓄電池、13.5キロワット時という大容量が特徴
テスラの蓄電池は、平均的な家庭の1日分の消費電力に相当する13.5キロワット時という大容量が特徴です。加えて、容量当たりの価格が競合他社と比べて安いことから、ヤマダHDでの販売価格は工事費込みで208万7,800円に設定されています。
これは、シャープやニチコンなどの大手メーカーの大容量商品と比べて、容量当たりの価格で3割以上お得な価格設定です。ヤマダHDは国内の家電市場の伸び悩みを受けて、EVや住宅、家具などの非家電領域を開拓することで、再成長を目指しています。
テスラとの連携により、家庭用蓄電池のラインアップを拡充し、太陽光発電設備やリフォームなどの関連商品の販売増加にも繋げていく方針です。
さらに、テスラは日本国内での「仮想発電所(VPP)」の展開も視野に入れており、今回のヤマダHDとの提携はその布石になると見られています。政府も2026年度にVPPの普及を後押しする仕組みを立ち上げる予定で、家庭用蓄電池を活用した新たな電力ビジネスの拡大が期待されています。
VPPの事業化については、東京電力エナジーパートナーもその動きを進めています。テスラが発表した4〜6月期の決算では、エネルギー事業の売上高が前年同期比2倍に伸び、蓄電池を用いた再エネビジネスの成長性が注目されています。