
上場企業が自ら株式を買い取り、株式市場から撤退する「MBO(経営陣による買収)」が急増しています。企業の合併・買収(M&A)の助言を行うレコフデータによると、2025年1月から11月までにMBOで非上場となった件数は公表ベースで28件に達しました。2020年以降、2桁台の高水準が続いていますが、特筆すべきはその規模です。10年前の買収総額は約570億円でしたが、今年はすでに1兆円を突破しており、企業の経営体制を根本から見直す動きが活発化しています。
特に目立つのが、物流業界や地方の有力企業による非上場化です。岐阜県岐南町に本社を置く中堅物流企業、エスライングループ本社は、2024年9月頃に名古屋証券取引所および東京証券取引所スタンダード市場への上場を廃止しました。同社の白木武専務取締役は、「上場企業は業績以外の情報公開や書類の英文化など手間がかかる一方、得られる効果は少なくなっている」と指摘します。ドライバーの残業規制が強化された「2024年問題」への対応や輸送体制の変更など、迅速な意思決定が求められる中で、株主の顔色をうかがうことなく中長期的な投資を行うための決断でした。
同様の動きは物流大手にも広がっています。名古屋市のトランコムは、米投資ファンドのベインキャピタルと組み、MBOを実施しました。同社は2025年1月に東証プライム市場などから上場廃止となりましたが、その理由は「成長施策が短期的には市場の評価を得られない可能性がある」ためです。株主資本コストや株価を強く意識させる東証の要請も背景にあり、短期的な利益還元を求める市場の圧力と、長期的な事業再構築の必要性との板挟みになる経営者が増えています。
また、企業価値向上を迫る「アクティビスト(物言う株主)」の存在もMBOを後押しする要因の一つです。しかし、MBOの過程で既存株主との対立が生じるケースも出ています。岐阜県大垣市の自動車部品メーカー、太平洋工業が進めるMBOでは、シンガポールの投資ファンドなどが買い付け価格の引き上げを要求しました。これを受け、同社はTOB価格を1株2919円に引き上げるなどの対応を余儀なくされています。「会社は誰のものか」という根本的な問いを突きつけられる中、経営の自由度を確保するためのコストは年々上昇しているのが実情です。
上場ステータスの新たな選択肢「プロ市場」への注目
MBOによる非上場化が進む一方で、上場のメリットを維持しつつ柔軟な経営を目指す新たな動きも出ています。注目されているのが、東証のプロ投資家向け市場「東京プロマーケット」です。一般市場のような厳しい流動性基準がなく、売上高や株主数に左右されずに上場できるため、特定株主による安定的な経営と上場企業の社会的信用を両立できる手段として関心を集めています。
このプロ市場をステップアップの足掛かりにする企業も現れました。大阪府で造園などを手がけるハンワホームズは、2024年に東京プロマーケットへ上場した後、2025年11月17日に名証ネクスト市場へと市場を変更しました。鶴厚志社長は「東京プロでの内部統制の整備が従業員の意識改革につながった」と語り、プロ市場での経験が成長の基盤になったとしています。名南M&Aの中嶋和典氏も「次の上場へのステップアップや企業成長の手段になる」と評価しており、非上場化か、あるいはプロ市場のような柔軟な市場を選ぶか、企業の選択肢は多様化しています。









に第51回横浜矯正展が開催された横浜刑務所の入り口-280x210.jpg)
の看板-280x210.jpg)

-300x169.jpg)