
電通グループは2025年12月24日、東京都中央区銀座7丁目に所有する「電通銀座ビル」の売却を発表しました。譲渡日は2026年1月30日を予定しており、2026年度の連結業績に約300億円の譲渡益を計上する見込みです。譲渡先については守秘義務契約を理由に非公表としています。
今回の売却は、適切なキャピタルアロケーション(資本配分)を進めるために必要な資金を確保することが主な目的です。老朽化が進む同ビルの修繕費用や固定資産税などの維持コストを抑制し、資産の効率的な運用を図る狙いもあります。電通グループは、資産ポートフォリオの見直しを通じて、事業オペレーションと資本効率の両面で、よりシンプルかつ持続可能な事業構造の構築を目指しています。
電通銀座ビルは1933年(昭和8年)12月に竣工した歴史的建造物で、鉄筋コンクリートブロック造の地下2階・地上8階建てです。敷地面積は696.64平方メートルで、戦後の電通の発展を支えた象徴的な建物として知られていました。正面の外堀通りは「電通通り」と呼ばれることもあり、広告業界の聖地的な存在でした。同ビルは1967年まで電通の本社として機能し、その後は東京広告協会や日本広告業協会、ACジャパンなどの広告関連団体、吉田秀雄記念事業財団などがオフィスとして利用していましたが、現在はすでに退去済みで空き状態となっています。
広告業界を取り巻く環境が大きく変化する中、電通グループは不動産を含む保有資産の再編を進め、経営基盤の強化と中長期的な成長に向けた資金の有効活用を急いでいます。今回の売却は、電通グループが掲げる構造改革の一環と位置づけられ、今後の資本政策や事業戦略にも注目が集まります。
売却益の使途と今後の戦略に関心
譲渡益は国際会計基準(IFRS)ベースで、営業損益に約300億円、親会社株主に帰属する当期損益に約220億円のプラスの影響を与える見込みです。ただし、事業上の利益指標である調整後営業損益への影響はないため、一時的な利益計上となります。
電通グループは売却で得られた資金を、適切なキャピタルアロケーションに充当する方針です。具体的な使途については現在検討中とのことですが、広告業界の構造変化に対応するための新規事業投資や、海外事業の立て直しなどに充てられる可能性があります。2025年通期の業績は、日本事業が底堅い一方で海外事業が不振で、最終損益は赤字見通しとなっています。
今回のビル売却は、単なる資産整理以上の意味を持つとみられています。銀座という象徴的な場所の資産を一気に売却するという決断は、社内外に電通グループの変革への決意を示すメッセージとなっています。市場では、売却益が成長投資や財務基盤強化にどう配分されるかを注視しており、電通グループの中長期的な事業戦略の鍵を握ると見られています。












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