フランスの政界が大きな混乱に見舞われています。国民議会で内閣不信任案が可決され、バルニエ首相率いる内閣は崩壊しました。
不信任案には左派連合の「新人民戦線」だけでなく、極右政党「国民連合(RN)」も賛成に回りました。バルニエ首相の在任期間はわずか2ヶ月半。1958年の第5共和制以来、最も短命な内閣となってしまいました。
この政治的混乱のそもそものきっかけは、6月の欧州議会選挙でのマクロン大統領与党連合の惨敗にあります。これを受け、マクロン氏は国民議会を解散し総選挙に打って出ましたが、RNが第一党に躍進する結果に。
マリーヌ・ルペンRN党首は「この短命内閣は終わりだ」と一刀両断しました。その一方で、予算案策定への協力には前向きな姿勢も見せています。
問題は、2025年度予算案の成立に欠かせない次期首相の指名であり、議会には多数派政党が不在のハングパーラメント(宙吊り議会)状態で、円滑な人選は難しいとみられています。このタイミングでの政府崩壊は、国民生活や金融市場にも影を落としかねません。
先行きの見えないフランス政界の混迷はしばらく続きそうです。ネット上では、「なんか世界情勢が二つの大戦前の状況と似通って来ていて不安です」「今の時代、本当に政治運営が難しい」「フランスとかドイツに比べると、日本はまだ安定しているということになる」などの意見が寄せられています。
マクロン大統領が辞任を否定 近日中に新首相を指名
マクロン大統領は5日、辞任を否定し近日中に新首相を指名すると表明しました。決議案の可決には、左派連合や極右政党RNが賛成に回ったことが大きく影響。これを受けマクロン氏は、「極左と極右の結託による反共和国戦線が混乱を招いた」と野党を強く非難しています。
しかし同時に、財政赤字削減や緊縮財政に取り組む姿勢を示し、2027年の任期満了まで職務を全うする意向を強調しました。「意図的に予算案を廃案にし、内閣を倒した議員の責任を私は一切負わない」とも述べました。
新首相の候補としては、ルコルニュ国防相やベルトラン元労働相、バロワン元財務相などの名前が挙がっています。
6〜7月の下院総選挙以降、不安定な政治状況が続くフランス。マクロン大統領には難しい舵取りが求められていますが、左派や極右との交渉力を持つ中道政党出身者を新首相に起用することで、打開を図ろうとしているようです。