
三井住友銀行は、2026年4月に入行する大学新卒社員の初任給を現行の25万5,000円から18%引き上げ、月額30万円とすることを発表しました。大手銀行で初めて初任給が30万円台に達することになります。
この決定は、総合商社やコンサルティング会社など他業種との優秀な新卒人材の獲得競争が激化していることを受けたものです。三井住友銀行では、大学院修了者と学部卒業者の初任給を一本化し、新設するコース別採用の行員には25万円の初任給を設定します。
また、初任給の引き上げに伴い、若手行員の賃金も底上げされる見通しです。他の大手銀行も追随する可能性があり、長年20万5,000円で横並びだったメガバンクの初任給が大きく動く契機となるかもしれません。
三井住友銀行の決定は、三菱商事をはじめとする大手総合商社や不動産会社が既に30万円台の初任給を提示している状況を踏まえたものです。優秀な人材を確保するには、現行の初任給では不十分だと判断されたのでしょう。
ネット上では、「若手社員の給料を引き上げる背景には、首都圏における独身寮や社宅の不足という背景もあると思われる」「ベースアップ分だけ初任給が上がるのなら何も問題ないと思います」「時代の流れと言われれば仕方ないけど、それでも虚しくなります」などの意見が寄せられています。
金融・保険業の賃金、他業種と比べて20代若手行員の差は1割未満
三井住友銀行が2026年の新卒初任給を月額30万円に引き上げると発表したことを受け、銀行業界の賃金体系に注目が集まっています。厚生労働省が公表した「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、金融・保険業の賃金は他業種と比べ全体では2割ほど高いものの、20代の若手行員に限れば差は1割未満となります。
この統計から分かる通り、メガバンクの若年層の優位性は薄れつつあるようです。三井住友銀行はこの状況を打開すべく、2026年1月を目処に人事・賃金体系を大幅に見直す方針を打ち出しました。
年功序列型の給与体系を改め、社員の役割や能力に応じた報酬制度を導入したのです。20代でも年収2,000万円に到達できるようにするなど、若手社員のモチベーション向上を図ります。
優秀な人材の確保に向けて、業界全体で賃金体系の見直しが加速するかもしれません。若手社員の処遇改善が、日本の金融業界の活性化に繋がることが期待されます。