米ウォルト・ディズニーの最高経営責任者(CEO)であるボブ・アイガー氏は8日、7,000人の人員削減に踏み切ると発表しました。ほかのコスト節減策を含めると、その規模は55億ドル(約7,230億円)規模になる見通しです。
同社が世界で雇用している従業員数は約22万人と推測され、今回リストラする予定の7,000人は全体の約3%にあたります。また経費削減では、番組制作への支出抑制やコンテンツ以外における25億ドルの経費カットが含まれます。
同社が大規模な経費カットに踏み切ったのは、動画配信サービス「Disney+」の会員数がサービス開始以来初めて減少したことが関連しています。会員数が1%の1億6,180万人減少したことで、ストリーミング事業の損失は10億5,000万ドルにまで及びました。
前年同期の2倍強に達しましたが、経営陣が3ヶ月前に想定していた規模よりは良好だったとのことです。人員削減だけでなく、マーケティング費用や調達費用の削減を行い、動画配信サービスの成長と利益の上昇につなげるのが狙いです。
一方で、ディズニーランドなどのテーマパーク部門は好調で、売上高は21%増の87億4,000万ドル。利益は30億5,000万ドルと、25%伸びました。映画『アバター』の2作目である『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』も好業績でした。
今回の発表を受け、ディズニーの株価は時間外取引で一時8%まで上昇。ネット上では、「アメリカの経営は合理性を重視している」「解雇することによって流動性を高めるほうが良いのかな?」「こういうニュースを知って安定重視の日本雇用を批判するのは違う」など、賛否の意見が寄せられています。
米IT企業「Twitter」「Meta」「Amazon」なども人員削減を実施
米国では、1月の人員削減数が10万人を超えています。特に米IT企業である「Twitter」「Meta」「Amazon」「Zoom」「Google」「Microsoft」における人員削減の動きが顕著です。
米国企業は日本企業とは違い、景気が落ち込み利益を確保しづらいとなると、CEOの判断で大幅な人員削減を実施します。テスラやスペースXのCEOを務めるイーロン・マスク氏は、米Twitter社のCEOに就任した直後に、全世界に7,500人余りいた従業員の約半数を解雇しました。
世間では大ブーイングが起こりましたが、一部では「イーロン・マスクよくやった」「これでTwitterがより良い方向に進む」などの意見も見られています。
このような大規模リストラを行っているのはTwitterに限った話ではなく、Facebookやメタバース事業を手掛けるMetaも、全体の約1割にあたる1万1,000人の従業員解雇に踏み切っています。
そのほか米IT企業も同じように大量リストラに踏み切るなど、日本企業とはまったく違う考え方で経営を進めています。