
セブン&アイ・ホールディングス(HD)の創業家である伊藤家が目指していた株式非公開化計画が白紙となりました。27日、同社は現行案の断念を発表し、大口投資家となる予定だった伊藤忠商事も参画検討の終了を明らかにしました。
伊藤忠商事の岡藤正広会長は、出資見送りの理由について、当初の計画に無理があったと指摘しています。創業家側の資金調達が難航する中で、投資先としての適格性に疑問が生じたことなどを挙げました。同社としては、今後もセブン&アイHDへの出資は考えていないとのことです。
一方、セブン&アイHDの井阪隆一社長の退任が取り沙汰されていますが、岡藤正広会長は経営体制よりも企業価値向上の戦略が重要だと強調。カナダ企業からの買収提案は、日本のコンビニ業界全体の問題だと捉え、消費者や店舗網、従業員を守るための戦略の必要性を訴えました。
創業家側は非公開化の道を模索し続けるとみられますが、時間は限られています。カナダ勢の攻勢が強まる可能性もあり、セブン&アイHDの行方は予断を許さない状況です。
ネット上では、「経営層を刷新させれば経営状況は改善する企業に思う」「この会社はことごとく消費者と従業員、取引先を大切にしない失敗策ばかり」「一度顧客の視点に立ち返り顧客満足度を上げる工夫をされてはどうか」などの厳しい意見が寄せられています。
非上場化計画が頓挫した理由|伊藤忠商事やタイの財閥大手が見送り
セブン&アイHDの創業家が目指していた非上場化計画が頓挫した主な理由は、巨額の資金調達が立ちゆかなくなったことにあります。
非上場化には8兆円を超える資金が必要とされましたが、出資を期待されていた伊藤忠商事やタイの財閥大手などが次々と参画を見送ったのです。伊藤忠商事は、出資に見合う事業面でのメリットが見込めないと判断。タイの財閥も、日本の小売企業への出資に消極的な姿勢を示しました。
こうした状況を受け、創業家側は断腸の思いで非上場化案を断念せざるを得なくなりました。当初、この案はカナダのコンビニ大手による7兆円規模の買収提案に対抗するために打ち出されたものでした。
今後は、カナダ企業の買収提案を受け入れるか、自社単独での成長を目指すかの選択を迫られることになるでしょう。なお、今回の非上場化計画が頓挫した知らせを受け、セブン&アイHDの株価は一時的に大きく下落しています。