
不動産コンサルタント会社ナイトフランクの2025年ウェルス・レポートによると、世界の富裕層分布において米国の圧倒的な優位が浮き彫りとなりました。資産15億円以上の超富裕層の約39%が米国に集中し、その数は90万人超に達しています。
第2位の中国(約47万人)は米国の半数程度、第3位の日本は約12万人で米国の約7分の1という規模です。第4位にはインドが続き、約8.6万人となっています。
特に注目すべきは、資産規模が大きくなるほど米国の優位性が高まる点です。150億円超の資産保有者では米国の割合が40%を超え、1,500億円超の億万長者に至っては世界全体の30%が米国居住者で、彼らの総資産855兆円はグローバル億万長者資産の40%を占めています。
この背景には、S&P500の2年連続20%超の成長やビットコインの120%高騰、トランプ大統領の規制緩和政策などが富の集中を加速させたとされています。
億万長者の業種別では、数的には金融・投資分野が多いものの、資産総額ではテクノロジー業界がトップに輝いています。世界トップ10のうち8人がテック業界出身者です。
また、平均年齢は65.7歳で87%が男性ですが、新世代の億万長者では女性比率が着実に上昇し、30歳未満では約半数が女性というデータも示されています。
ネット上では、「恐らく日本の経済は減速しているから貧富の差が拡大しただけだと思う」「相対的に経済格差が広がり貧困層が増えているということ」「人口差を考えると意外と米国との差が少ないですね」などの意見が寄せられています。
米国株急落で二極化する国際市場 富の流れに変化の兆し
米国株式市場の急落を受け、世界の投資資金の流れに顕著な変化が見られています。特に注目すべきは、世界の超富裕層が集中する米国から、アジアや欧州市場への資金シフトです。
中国のAI技術「DeepSeek R1」の台頭によるテクノロジー株高騰が香港と中国本土市場を牽引し、両指数は年初から20%上昇しています。同様に欧州市場も国防支出計画に支えられ好調を維持しています。
一方で、トランプ大統領の保護主義的政策は市場に不安をもたらし、特に輸出依存度の高いアジア諸国に打撃を与えているのが現状です。S&Pグローバル・レーティングは、日本の自動車・機械メーカーや韓国の半導体産業などへの影響を警告しています。
最も深刻な状況にあるのがタイ市場で、年初から15%下落し、2024年10月のピークから約5分の1の価値に縮小。企業スキャンダルや政治不安に加え、過去1年で6,300億円の外国資本が流出しました。
世界的な富の偏在がさらに進む中、投資マネーの流れは超富裕層の新たな資産分散戦略を示唆しています。