
4月1日から定期接種となる帯状疱疹ワクチンに、認知症予防効果があることが国際的な研究で明らかになりました。
権威ある学術誌「ネイチャーメディシン」に掲載された研究によると、不活化ワクチン「シングリックス」の接種者は、生ワクチン接種者と比較して認知症発症リスクが17%低下したことが確認されています。
この研究では、65歳以上の高齢者各10万人を対象に、接種後6年以内の認知症診断率を比較調査しました。さらに2024年7月に開催された「アルツハイマー病協会国際会議」においても、50歳以上の米国人1億1,500万人以上を分析した大規模研究の結果が発表され、シングリックス接種によりアルツハイマー病リスクが接種3年以内で27%、5年以内で23%減少することが示されました。
「宮崎スタディ」の責任者を務める外山皮膚科院長の外山望氏は、帯状疱疹の厄介さを強調しています。今回の定期接種化と認知症予防効果の研究結果は、高齢化社会における健康維持の新たな選択肢として注目されています。
認知症予防効果に加え、65歳以上は4月から定期接種化へ
帯状疱疹ワクチンが4月1日から65歳以上を対象に定期接種となります。これまで自費接種だったワクチンが公的支援を受けることで、高齢者の帯状疱疹予防がより身近になります。
帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって発症する疾患です。子供の頃に水痘として感染したウイルスが、免疫力低下とともに再び活性化することで発症します。80歳までに3人に1人が経験するとされています。
近年の特徴は発症年齢の低年齢化です。これは2014年から水痘ワクチンの定期接種が始まり、水痘の子どもが減少したことで、免疫機能が高まる機会が減少したためと考えられています。
ワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンの2種類があり、不活化ワクチンは2回の筋肉注射が必要ですが、5年経過後も9割以上の予防効果を維持し、帯状疱疹後神経痛も9割近く予防できます。
一方、生ワクチンは1回の皮下注射で済みますが、効果は5年後に4割程度まで低下します。既に生ワクチン接種済みの方や帯状疱疹の発症経験がある方も、不活化ワクチンの接種が推奨されています。