
東京証券取引所が新興企業向けグロース市場の選別強化に乗り出します。上場から5年が経過した企業に対し、時価総額100億円以上を求める新基準を導入する方針です。
この改革案は4月2日、自民党の資産運用立国議連の会合で示されました。現行では上場10年後に時価総額40億円以上を求めていますが、小規模企業が上場後も成長できない「小粒上場」問題を解消するため、基準を大幅に引き上げます。新制度は2030年以降に適用される見込みです。
4月1日時点で、グロース上場企業の約7割にあたる420社程度が時価総額100億円未満となっています。また、過去20年間に新興市場へ上場した企業の45%が上場時の時価総額を下回っており、3倍以上に成長した企業はわずか18%に留まっています。
東証はすでに「経過措置」の段階的終了も進めており、3月期決算企業は2026年3月末までに基準達成が求められます。プライム・スタンダード市場でも約200社が基準未達とされ、日本市場全体の厳格化が加速しています。
4月下旬に開催予定の有識者会議で最終調整を経て決定される見通しで、上場企業への規律強化を通じた日本株式市場の魅力向上を目指しています。
ネット上では、「小型株の個人投資家は東証取引をやめてしまうだろう」「それよりも上場基準をもっと厳しくした方が良い」「上場がゴールの会社には退場してもらわないと」などの意見が寄せられています。
230社超が決断の時 東証上場維持基準、猶予期間残り1年
東京証券取引所の厳格化された上場維持基準をめぐり、未達企業にとって正念場を迎えています。経過措置終了後の改善期間が残り1年を切り、基準達成できなければ2026年10月には上場廃止の可能性が現実味を帯びてきました。
この残された時間の中で、企業は今後の方向性を決断する必要があります。上場維持を目指すか、市場区分の変更を選ぶか、あるいは株式非公開化へと舵を切るか選択肢は限られています。
対象となるのは2022年4月の市場再編時に設けられた経過措置適用企業で、ぐるなびやPR TIMESなどを含む259社(昨年11月末時点)。内訳はプライム市場69社、スタンダード市場143社、グロース市場47社となっています。
ニッセイ基礎研究所の最新調査では、全上場企業の6.1%に当たる235社が基準未達とされています。ニッセイ基礎研の森下千鶴氏は、「新市場区分で残されていた課題が、時間をかけてようやくあるべき姿になる」と評価しています。