カンヌ国際映画祭で見えた映画界の現在 スターたちの情熱と社会へのメッセージ、巨額マネーが動く舞台裏

パスカル、カンヌ記者会見で強烈メッセージ「怖がらせる奴らはクソだ」
ペドロ・パスカルが、カンヌ国際映画祭で行われたアリ・アスター監督の新作『エディントン』の記者会見で、アメリカの現状の政治的混乱に対し、熱いメッセージを送った。「恐怖を与えようとする奴らはクソだ!」と、詰めかけた報道陣に語り、会場を沸かせた。
ホアキン・フェニックス、エマ・ストーン、オースティン・バトラーら豪華キャストも登壇したこの会見で、政治色の強い作品に出演したことで、アメリカへの帰国を心配していないかと問われたパスカルは、「恐怖こそが、彼らの勝利の手段だ」と力強く答えた。
さらに彼は続ける。「だからこそ、物語を語り続け、自分を表現し続け、自分らしく生きるために戦い続けるんだ。怖がらせようとする連中なんてクソだろ?反撃するんだ。物語を語ることこそ、最高の反撃だ。絶対に、連中を勝たせてたまるか!」
『エディントン』は、金曜日の夜にプレミア上映され、5分間のスタンディングオベーションに包まれた。感動の渦の中、ホアキン・フェニックスは、目に見えて涙ぐむ場面も。
A24が手掛けるこの作品は、2020年5月のCOVIDパンデミックの最盛期を舞台に、小さな町の保安官(フェニックス)と市長(パスカル)の対立が、ニューメキシコ州エディントンで住民同士の争いを巻き起こす物語。MAGA(Make America Great Again)運動を痛烈に批判していることでも話題だ。
ギリシャ映画界、リベート制度で苦境?大作撮影終了も今後の動向に不安
今年の初め、ギリシャで3週間の撮影を終えたクリストファー・ノーラン監督の超大作『The Odyssey』。マット・デイモン、トム・ホランド、ゼンデイヤら豪華キャストを迎え、ホーマーの古代叙事詩を壮大なスケールで映画化するユニバーサルの注目作だ。撮影隊は次の目的地、シチリアへと向かったが、ギリシャの映画業界関係者たちは、この状況に複雑な思いを抱えている。
巨額の製作費が動く国際的な映画製作。ギリシャ政府は、国内の映画産業を活性化させようと、リベート制度を導入したが、その効果に疑問の声も上がっている。他の国際的なプロダクションも、次々とギリシャを離れてしまうのではないか。関係者たちは、今後の動向を固唾を飲んで見守っている。
ギリシャ政府が、新たな業界団体「クリエイティブ」を設立し、スクリーン部門の大改革を発表してから1年。果たして、ギリシャ映画界は、再び活気を取り戻すことができるのだろうか。
テオ・ジェームズ主演のスリラー映画『The Hole』、カンヌで高額取引成立
カンヌ映画祭で、世界中のバイヤーたちが熱い視線を送る映画マーケット。スターが勢ぞろいの国際的な作品を巡り、熾烈な争いが繰り広げられる中、Amazon MGMのOrion Pictures Labelが、スリラー映画『The Hole』の全世界配給権を獲得した。
テオ・ジェームズ、「イカゲーム」で世界を魅了したチョン・ホヨン、実力派ヨム・ヘラン、そしてクリスチャン・スレーターらが出演するこの作品。Orionは、劇場での大規模公開を予定しており、国際的な展開にも力を入れていく。関係者によると、契約額は約2,000万ドルに達したという。撮影はすでに韓国で終了している。
監督を務めるのは、『悪魔を見た』や『クモの巣』など、唯一無二の作品を手掛けてきたキム・ジウン。韓国でベストセラーとなった同名小説を原作に、新たなスリラーの傑作を誕生させる。