新しい『子どものアレルギー性鼻炎の治療における免疫療法』舌下免疫療法(アレルゲン特異的免疫療法)

新しい『子どものアレルギー性鼻炎の治療における免疫療法』舌下免疫療法(アレルゲン特異的免疫療法)|ライター:秋谷進(たちばな台クリニック小児科)

子どもに鼻がムズムズしたり、くしゃみが止まらず勉強に集中できないといわれたことはありませんか?

多くの人が経験する「アレルギー性鼻炎」は、特に子どもにとって深刻な影響を及ぼす疾患です。

舌下免疫療法を説明するイラスト|作成:秋谷進(たちばな台クリニック小児科)

今回紹介する研究は、アレルギー性鼻炎の子どもたちに対する「舌下免疫療法(アレルゲン特異的免疫療法:AIT)」が、症状の改善や病気の進行を抑えるのに有効であることを明らかにしたと発表しました。

論文

Ruba A Alamri,Ghaida H Aljabri,Rehab Tahlawi,et al. Immunotherapy in the Treatment of Allergic Rhinitis in Children.Cureus. 2022 Dec 13;14(12):e32464. doi: 10.7759/cureus.32464. eCollection 2022 Dec.

サウジアラビアタイバ大学のRuba A Alamriらが『子どものアレルギー性鼻炎の治療における免疫療法』について、2022年12月に医科学分野の国際学術雑誌「Cureus」に報告しました。

研究背景

世界的に増加しているアレルギー性鼻炎は、くしゃみや鼻づまりなどの不快な症状だけでなく、喘息や中耳炎、蓄膿症などの合併症も引き起こします。

特に子どもの場合、これらの症状や合併症は生活の質を大きく低下させる可能性があります。しかし、従来の薬物療法では症状の一時的な改善しか期待できず、根本的な免疫反応を変えることは困難でした。

そこで注目されているのが「アレルゲン特異的免疫療法(AIT)」という方法です。

研究の目的

本研究では、AITが子どものアレルギー性鼻炎に対してどのように作用するのか、その仕組みや効果、適用基準、さらに注意すべき副作用などを包括的に明らかにすることを目的としました。

研究方法

本研究は、PubMedおよびGoogle Scholarから最新の研究論文を選び、その内容をレビューする形で行われました。具体的には、免疫療法の作用機序、適応と禁忌、投与方法(皮下注射と舌下療法)、さらには潜在的なリスクや利点について詳しく調査されています。

研究結果

研究により、AITはアレルゲンに対する特異的な免疫寛容を誘導することが分かりました。

例えば、免疫療法によって特定のIgE(アレルゲンに反応する抗体)の産生が抑えられ、代わりにIgG4と呼ばれるアレルゲンを逆にブロックする抗体が増加します。

また、T細胞の反応パターンがアレルギー症状を引き起こすタイプ(Th2)から、症状を抑制するタイプ(Th1)へと変化し、さらに過剰な免疫を抑える作用をもつ調節性T細胞(Treg細胞)の活性化も確認されています。

投与方法としては、皮下注射(SCIT)と舌下療法(SLIT)があり、特に子どもにとっては痛みが少なく、家庭での管理も可能な舌下免疫療法(SLIT)がよく臨床現場でも使用されます。通常は花粉シーズンの3〜4ヶ月前から1日1回服用します。

実際、臨床試験の結果では、SLITは症状を30〜40%軽減し、薬物使用量も減少させました。また、アレルギー性鼻炎が、喘息へと進行するリスクを抑える可能性も示唆されています。

注意点

AITにも副作用や注意点もあります。
例えば、舌下療法では口内や喉の不快感、胃腸症状がよく見られ(50〜85%)、皮下注射では注射部位の痛みや注射恐怖症などが報告されています。また、免疫療法が適さない患者もおり、重症の喘息や重篤な心血管疾患を持つ患者には注意が必要です。

考察

本研究が指摘するように、AITは症状の緩和だけでなく、投薬をやめたあとも病気の根本的な進行を抑制し、アレルギーを抑える効果が持続することが期待されます。
小児科や内科、耳鼻科、呼吸器内科などで舌下免疫療法が受けられるので、ぜひアレルギーを根本から治療されたい方は検討してみてください。

参考までに私の勤務する病院での舌下免疫療法のスケジュールです。

舌下免疫療法の受信スケジュールのイラスト|作成:秋谷進(たちばな台クリニック小児科)

秋谷進医師

投稿者プロフィール

小児科医・児童精神科医・救命救急士
たちばな台クリニック小児科勤務

1992年、桐蔭学園高等学校卒業。1999年、金沢医科大学卒。
金沢医科大学研修医、国立小児病院小児神経科、獨協医科大学越谷病院小児科、児玉中央クリニック児童精神科、三愛会総合病院小児科、東京西徳洲会病院小児医療センターを経て現職。
専門は小児神経学、児童精神科学。

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